アヤックスから強力助っ人を獲得した鳥栖の狙いは? 地方クラブはeスポーツに何を見出すのか

2018年05月01日 荒木英喜

欧州やアジアではテレビ中継があり、賞金総額1億円以上の大会もある「eスポーツ」

佐藤基彦事業部長が同席して行なわれたファン・ウーデン選手の移籍加入記者会見。日本でのeスポーツ最初のシーズンに意欲を見せた。写真提供:サガン鳥栖

 4月11日、鳥栖は今年からパートナーシップ契約を結んだアヤックスからeスポーツプレーヤーであるボブ・ファン・ウーデン選手の移籍加入を発表した。 

 彼は「アヤックス ボブ」の登録名で5月4日に日本サッカーミュージアム「ヴァーチャルスタジアム」で行なわれる明治安田生命eJ.LEAGUE決勝ラウンドにJ1クラブ推薦選手として参戦する。この大会の優勝者は、FIFA eWorld Cup 2018の出場権をかけたグローバルシリーズプレーオフに参戦できる。 

 なぜ鳥栖はeスポーツに参戦することにしたのか? それもアヤックスから選手を獲得してまで。その理由を竹原稔社長は次のように語る。 「今、私たちのクラブでは新しいコトを始めることがキーワードになっています。新しいコトをすると新しい出会いがあります。既存のファンだけでなく、サッカーとは違う分野からファンを掴んでいきたいと思っています。そのひとつがeスポーツです。5月4日にはeJ.LEAGUE決勝ラウンドが行なわれます。参加するなら優勝したいと考え、私たちが今年2月にパートナーシップを締結したアヤックスのeスポーツプレーヤーであるボブ・ファン・ウーデン選手を獲得しました」

  日本ではまだ発展途上のeスポーツだが、ヨーロッパやアジアでは多くの人に注目されており、テレビ中継なども行なわれている。なかには賞金総額が1億円を超える大きな大会もあり、プロのeスポーツプレーヤーが活躍している。

  日本はファミコンやプレイステーションを生み出すなど元々ゲーム大国であり、今の小学生や中学生は動画配信サイトでゲームの動画をよく見ている。そうした背景を考えれば、竹原社長が話すようにeスポーツは日本でも発展するだろう。

 また、今後日本の人口が減少することを考えれば、既存のサポーター層に頼るのではなく、サッカー以外に興味のある人たちをサポーターにしていくことが必要になる。そのひとつがeスポーツであり、サポーターのみならずスポンサーの獲得も視野に入れてこう話す。 

「eスポーツはオンラインで全世界に通じています。今回のeJ.LEAGUE決勝ラウンドで優勝すれば、日本で最初の優勝クラブと何かを始めたいと思っていただけると考えます。なかには佐賀からエリアジャンプして、世界各地の人や会社がいるかもしれません。この大会で優勝を目指すのはクラブにとって意義のあることですし大きなチャレンジなのです」 
 

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