【横浜】中村俊輔ばりのFK弾よりも、天野純の進化を感じさせたワンプレー

2018年04月29日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ラスト3分の1で違いを作るのが、僕の今の課題」

遠藤の先制点をお膳立てした、ラスト3分の1でのシュート。天野のこうしたプレーが増えてくれば、チームも勝利の確率を高められるはずだ。写真:田中研治

[J1リーグ11節]横浜3-0鹿島/4月28日/日産ス
 
 てっきり、ゴール前の誰かに合わせるかと思った。だが、その予想は思い切り外れた。
 
 横浜の1点リードで迎えた21分、ゴールに向かって右寄りの位置で横浜がFKのチャンスを得る。キッカーは天野純。自慢の左足から放たれたボールは一直線にゴールへと向かい、右のポストを叩いてネットを揺さぶった。
 
 鮮やかな一発は、鹿島の内田篤人に「俊さん(中村俊輔/現・磐田)かと思った」と言わしめるほどだった。
 
 試合の行方を大きく左右する追加点でもある。ただ、個人的にはこの日の先制点の場面のほうが、強く印象に残った。
 
 7分、遠藤渓太がヘッドで押し込む。味方のシュートが鹿島の植田直通に当たり、そのこぼれ球に素早く反応したゴールだった。
 
 間接的にアシストとなるシュートを放ったのは天野だが、注目すべきは、天野がいた位置だ。左サイドのユン・イルロクから横パスを受けて左足を一閃したのは、相手のペナルティエリアの中。危険なポジショニングだったのは間違いない。
 
 もっとも、天野が"そこ"にいることが重要だった。高いパスセンスは誰もが認めるところで、それだけにこれまではミドルゾーンで「出し手」の役割を担うことが少なくなかった。
 
"アシストのアシスト"の配給役。言うなれば、フィニッシュワークを一歩引いてみるような仕事で貢献していたが、本人は「自分は前の選手だと思っている」。よりゴールに直結したプレーでこそ、特長が生きると考えている。
 
「ラスト3分の1で違いを作るのが僕の今の課題だし、やっていかないといけない。強いチームにはそこで違いを作れる選手がいる。僕もそうなっていきたい」
 
 出し手より受け手。ラスト3分の1やニアゾーンで何ができるか。そこにどれだけ入り込んでパスを受けて、シュートを打つなり、ラストパスを通せるか。
 
 その意味では、鹿島戦では天野の理想が具現化した。流れを引き寄せる先制点に絡んだワンプレーに、天野純の進化が感じられた。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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