【磐田】「そういうボスの下でサッカーができているのを…」川又堅碁が語る指揮官への想い

2018年04月29日 梶山大輔(サッカーダイジェスト)

「あれだけ悔しがっているのを初めて見た」

前線で精力的に働いた川又は先制点を奪う活躍。ただドローに終わり、試合後に笑顔はなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ11節]磐田1-1C大阪/4月28日/ヤマハ
 
 まさにドンピシャだった。
 
 27分、相手のパスミスを拾った松浦拓弥が左足でクロスを供給する。このボールに倒れ込みながら合わせたのはエースの川又堅碁。前節・長崎戦から2試合連続でネットを揺らした。
 
「松浦選手のボールがよかった。空間察知能力というか、『どこに走り込んだら、どこのスペースに(パスを)出せばよいか』というのを凄くわかっているので。非常に精度の高いボールがきたなという感じだった」
 
 アシストの松浦に感謝した川又だが、この日の試合展開については言葉を選んだ。
 
「(チームの出来は)凄いよかったけど……。不運なところが問題でしたね」
 
 川又が言う"不運"とは、56分に起きたPK献上のシーン。ペナルティエリア内に侵入してきた杉本健勇が大井健太郎に倒されたのだが、ファウルかどうか際どい判定だったのだ。
 
 前半途中から判定を巡り両チームの選手がエキサイトしており、試合はやや荒れた展開となっていた。そのなかで下ったPKというジャッジ。試合後にいつもなら内容を細かく、時にユーモアを交えながら振り返る名波浩監督も、判定には言及せず会見を早々に切り上げた。
 
  エースもまた、そんな指揮官の想いを痛いほど感じていた。
 
「監督があれだけ悔しがっているのを初めて見た。そういうボスの下でサッカーをできているのを幸せに感じているし、逆にあの悔しさを喜びに変えさせてあげたいという気持ちがチームに芽生えたと思う。次は俺が決めて勝ちたい」
 
 名波監督と同様に、川又も判定について事細かに語ることはなかった。過去を振り返るのではなく、次戦に向けて気持ちをいち早く切り替える――。次節の横浜戦では、いつになく真剣な表情だった背番号20の3試合連続ゴールに期待したい。
 
取材・文●梶山大輔(サッカーダイジェスト編集部)
 
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