一時は2位も急ブレーキ… 仙台が向き合う「やらない」選択肢と技術的問題

2018年04月29日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「とにかくクオリティを上げるぞ」

開幕スタートダッシュを切ったが、失速してしまった現状に、渡邉監督が口を開いた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ11節]仙台 2-2 札幌/4月28日/ユアスタ
 
 今季、仙台は開幕5試合で3勝2分のスタートダッシュを切り、5節終了時には2位につけていた。しかし、6節の浦和戦で初黒星(0-1)を喫すると、7節の名古屋戦に勝利(3-2)したものの、8節以降は2分2敗で白星がない。
 
 11節の札幌戦も2-2のドローに終わった。前半はGKとDFの連係ミスによる「不用意でつまらない失点」(渡邉晋監督)をして、後半は開始早々に西村拓真のゴールで同点にしたものの、相手に退場者が出て数的優位にもかかわらず、勝ち越し弾を許してしまう。試合終了間際にCKから大岩一貴がヘディングを決めて、なんとか勝点1を得たが、相手よりボールを保持しながら迫力不足の攻撃だった。
 
 試合後、渡邉監督は次のように悔しさを滲ませた。
「相手が10人でも勝ち切れないのは反省しなければ。以前の守備の堅さを取り戻さないといけない。あとは、アタックの時に効果的な場所にいなかったし、良いボールが入っても前を向けるのに向かなかった。そこはもったいなくて、相手にとって怖くない」
 攻撃で相手に脅威を与えられなかったとはいえ、指揮官は「前線に(身長の)高い選手を置いて、ボカーンと蹴って、みんなでセカンド(ボール)拾いましょう。そんなサッカーは、もうやらない」とロングボール主体のサッカーを否定する。

 そのうえで渡邉監督は、ポゼッションスタイルを構築してきた仙台が、ゴールに向かう攻撃をするために必要なことを語る。
「まずは、(パスの受け手が)良い立ち位置を取る。(出し手は)そこに相手がどれくらい食いついているのかを見たうえで、ボールを渡して(攻撃を)展開しなければいけない」

 ただ、ゴールに向かうためのボールの受け手のポジション取りと、出し手のパスのトレーニングは継続して行なっている。現在、直面しているのは「技術的な問題によるミス」だ。だからこそ札幌戦後、指揮官は選手たちに技術面における「クオリティをとにかく上げるぞ」と宣言した。

 好調時の勢い、または戦術、その他の要素でカバーしきれない「クオリティ」にブレーキの原因を求める今、仙台はチームのスタイルを変えずに技術向上の練習を続けるしかない。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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