目標は本当に「世界一」? 冷めたまま敗れ去った日本代表の消沈

2014年06月15日 熊崎敬

心意気はピッチの上で示さなければならない。

逆転されてからの日本は、淡々と敗北を受け入れてしまったように映った。本当に世界一を目指す気があるのか、疑問を投げかけたくなる戦いぶりだった。 (C) SOCCER DIGEST

 試合には勝者と敗者がつきもので、敗れたことについてとやかく言うつもりはない。ただ、負け方があまりにもひどかった。
 
 ドログバに委縮した日本は後半、成す術もなく2点を奪われた。
 
 だが、時間は十分に残されている。まだわからない。そう思って試合を観ていたが、いつまで経っても日本は冷めたままだった。
 
 意味のない交代、闘争心を露わにしない選手たち、そして燃えないサポーター。
 
 どうしてこんなにあっさりと敗北を受け入れてしまったのだろう。アディショナルタイムにはコートジボワールの13番が何度もピッチに倒れ、動かなくなったが、日本の選手たちは事態を傍観するだけだった。
 
 まともなチームであれば、一斉に敵を取り囲み、ピッチから強引に引きずり出してでも試合を再開させようとしただろう。
 
 この大会に向けて、日本の選手たちは「目標は世界一」だと公言してきた。
 
 ぼくは試合後の深夜便でリオに向かわなければならなかったから、ミックスゾーンで選手たちがどんな言葉を残したのか知らない。興味もない。
 
 ただ世界一を目指すなら、その心意気はピッチで示さなければならない。言葉ではなく、プレーによって「ああ、このチームは本気でカップを獲りに行くんだな」と思わせなければならない。
 
 この試合を観たブラジル人に「日本は優勝を狙っているんですよ」と言ったら、冗談だろうと笑われるだろう。
 
 終盤の形ばかりのパワープレーを見て、ぼくはある選手のことを考えていた。
 
 田中マルクス闘莉王だ。
 
 このゲームを見て、彼は何と思っただろう。
 
 日本代表は、文字通り日本の代表だ。選ばれた選手たちは、選ばれなかった選手が、「これだけやったんだから、もう何も言うことはない」と脱帽するほどの戦いを見せなければならない。
 
 23人のメンバーが発表されたとき、そう語っている選手がいた。「世界一」もそうだが、最近の日本代表はお題目ばかりだ。それで許されてしまっている。
 
 ブラジルを旅していると毎日、たくさんの国の人々と出会う。
 
 今朝はリオの空港でコスタリカ人の一団を見た。空港のスタッフに「見たよ、よかったよね」と褒められて、ものすごく嬉しそうだった。
 
 ブラジルからいちばん遠い国、日本からはたくさんのファンが駆けつけている。ギリシャ戦では、丸1日かけてブラジルにやって来たファンが報われるような試合をしてほしい。いや、しなければならない。
 
 そうでなければ、日本代表は口だけのチームで終わる。
 
取材・文:熊崎敬
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