【今日は何の日?】6月14日「日本サッカーの輝かしい3つの試合」

2014年06月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

感慨深きデビュー戦と初のトーナメント進出を決めた一戦。

世界の舞台で戦う喜びと、世界の厳しさの両方を同時に味わった記念すべき98年大会アルゼンチン戦。 (C) Getty Images

 今大会で20回目を迎えたワールドカップ。これまで80年余りの歴史において、数えきれないほどのドラマを創り上げてきた。
 
 6月12日の開幕から約1か月にわたり、日々、地球の裏側で展開される熱い戦いに魅了されながら、同時にこの祭典の長い歴史にも関心を寄せてみてはいかがだろうか。
 
 これから、ワールドカップ期間中、その日、過去のワールドカップで何が起こったかをピックアップして紹介していく。
 
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 1998年6月14日、フランス南西部の都市トゥールーズで、重い歴史のトビラが開かれた。日本が初めて、ワールドカップの大舞台に立ったのである。最初に予選に出場した54年スイス大会以来、実に44年目の悲願成就だった。
 
 4年前の悲劇的な敗退を経て、今予選での紆余曲折の末にようやく成し遂げた本大会出場ということで、日本中が熱狂。スタッド・ミュニシパルのスタンドの大半も、はるばる日本から駆け付けた青いユニホームの一群によって埋め尽くされ、まさにホームゲームという雰囲気のなかで、日本代表は感慨深い世界デビュー戦に臨んだ。
 
 相手は優勝を狙う強豪中の強豪、アルゼンチン。しかし日本は臆することなく序盤から仕掛ける。チャンスを作り、シュートも放った。対してアルゼンチンは、攻撃には最低限の人数しかかけなかったが、それでも徐々に効果的なプレーを見せ始める。
 
 28分、ディエゴ・シメオネ→アリエル・オルテガのパス交換から、オルテガがスルーしたボールが名波浩に当たってコースを変えると、そこには秋田豊の密着マークから逃れたガブリエル・バティストゥータがフリーで待ち構えていた。大会の得点王候補にも挙げられていた点取り屋は難なく、再三好守を見せたGK川口能活を破った。
 
 その後、アルゼンチンは無理をすることなく、しかし実に効率の良いプレーで、危なげなく、そして日本をたびたびピンチに晒しながら、90分を終えた。日本にとっては、一見すると惜敗だったが、実は厚い世界の壁に弾き返された形で、お祭りムードに冷水を浴びせられる世界デビュー戦となった。
 
 結局、3戦全敗で初のワールドカップを終えた日本だったが、その4年後の2002年は自国開催。岡田武史監督からバトンを受けたフィリップ・トルシエ監督の下で十分な準備を行ない、4年前以上に日本中が沸くなかで、日韓大会に臨んだ。
 
 グループリーグでは、初戦のベルギー戦で初勝点(引き分け)を獲得し、続くロシア戦では念願の初勝利。そして迎えた6月14日のチュニジア戦では、初のグループリーグ突破を賭けて、大阪・長居スタジアムにてアフリカのチュニジアと対戦した。
 
 序盤から攻勢に立った日本は、前半こそ無得点に終わったものの、後半から投入された森島寛晃が3分で結果を出し、待望の先制。戦意を失いつつあるチュニジアをさらに攻めると、同じく後半から出場の市川大祐が上げた良質のクロスを中田英寿が身体を投げ出しながら頭で合わせ、ダメ押しゴールを決めた。
 
 それまでのどの試合よりも良いパフォーマンスを選手は見せ、トルシエ監督の采配も冴え渡った一戦。それは、初の決勝トーナメント進出という輝かしい歴史的一戦にふさわしいものだった。

次ページその後の躍進のきっかけともなったアウェーでの初勝利。

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