ミキッチは古巣戦に何を想う「非常に感情が昂った。ただプロフェッショナルとしては…」

2018年04月16日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

今季から9年過ごした広島を離れて、湘南へと活躍の場を移した

古巣の広島戦で後半途中からピッチに立ったミキッチ。精力的にサイドを駆け上がると、クロスにシュートに奮闘した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ8節]湘南0-2広島/4月15日/BMWス
 
 8節のサンフレッチェ戦で、湘南ベルマーレのミキッチが途中出場。右ウイングバックで投入されると、持ち前の推進力を活かしてサイドを疾走。高精度のクロスでチャンスメイクし、85分には切れ味鋭いカットインから果敢にシュートを放ち、ゴールを狙った。

 
 結果的にそのどれもが得点にはつながらず、チームは0-2の敗戦を喫した。
 
「1点ビハインドで投入されたわけですから、試合をひっくり返すために自分がやるべきなのはクロスを入れること、ゴールに直結するパスを出すこと、自らが切り込んでシュートを打つこと、そこが今日得点につながらなかったのは、非常に残念に思っています。でも内容に関して言えば、今季1番と言っていいくらい良い内容だったと感じていますし、このサッカーを続けていくことが勝利に近づいていくと思っています」
 
 精力的な動きでサイド攻撃を活性化させたクロアチア人はそう試合を振り返る。そんなミキッチにとって、広島との試合は一層気合いが入っていたに違いない。
 
 ミキッチは、2009年から広島に在籍し、12年、13年、15年と3度のリーグ制覇に貢献した。今季から9年過ごした"第2の故郷"を離れて、湘南へと完全移籍し、活躍の場を移した。
 それから初の古巣戦だ。特別な感情が生まれないわけはない。ミキッチが交代出場したのは、後半途中の69分。
 
「非常に感情が昂りました」
 
 感慨深いものを胸に抱えながら、ピッチに入った。しかし、そこはプロキャリア23年目の大ベテラン。「ただ私もプロフェッショナルとして、気持ちをおさえながら、平常心で臨むように努めました」とこみ上げる気持ちを抑え、湘南の一員として勝利のために尽くした。
 
 ミキッチが出場する際には、広島サポーターから相手チームの選手にも関わらず、チャントが送られた。一方でミキッチも、試合後はゴール裏の広島サポーターの元へと赴き、深々とお辞儀をし、広島の選手たちが残るロッカールームにも訪れた。
 
 それでもフラッシュインタビューの最後には、しっかりと次節を見据え、「勝つこと。それだけです」と力強く宣言。今季ここまでは目に見える結果を残せていないが、広島戦のプレーを見る限り、調子は上向いているはずだ。これから、その快足を活かしてチャンスを量産してくれるだろう。湘南でも記憶に残るプレーを期待したい。

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取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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