【広島】「“それ”をやめてしまえば一気に落ちてしまう」青山敏弘が1番こだわる生命線

2018年04月17日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「それができるから、みんなが自信を持って戦えていると思う

J2降格も、J1優勝も味わった青山。経験豊富な重鎮がこだわりを語った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ8節]湘南0-2広島/4月15日/BMWス
 
 サンフレッチェ広島が8節で湘南ベルマーレを下し、リーグ戦4連勝。開幕戦から無敗を続け首位を堅持している。
 
 圧倒的な力で勝って来たかと言えばそうではない。時にはラッキーな形でゴールを奪えたり、時には判定に助けられた試合もある。ただ、接戦をモノにして勝点を積み重ねられている要因のひとつが、堅守だろう。
 
 今季8節を終えた時点で、わずか2失点。GKの林卓人を中心に辛抱強くゴールに鍵をかけている。
 
 2-0で完封勝利した湘南戦でも、その頑強さは見て取れた。個々のパフォーマンスは決して良くなく、1対1の局面で後手を踏んで簡単にかわされたり、マークをあっさり外されてシュートまで持ち込まれたりと、隙だらけだったとも言える。

 それでも、シュートの場面では全員が身体を投げ出してブロックに入り、瀬戸際で阻止。相手のミスに救われた部分もあったものの、結果的に無失点に抑えながら、パトリックの個人技で2ゴールを奪い勝点3を獲得している。
 
「いくら湘南さんがボールをつなごうが、しっかりコントロールした中で(やらせておく)、と思っていました。やっぱり厳しいシーンはありましたし、やられてもおかしくないくらい、前半から相手は仕掛けてきた。でも、それを耐えられる力を今自分たちは持ちつつあるから我慢できたと思うので、それが後半につながった」
 
 そう振り返るのは、キャプテンの青山敏弘だ。2004年から広島一筋で今季で15年目を迎える青山は、07年のJ2降格、その翌年のJ2リーグ優勝、そして12年、13年、15年のJ1リーグ優勝など、酸いも甘いも経験してきた。
 
 そんな重鎮がこだわるのが、まさに粘り強い守備。
「それをやめてしまえば、一気に落ちていくだろうし、それが自分たちの生命線だと思っている。それができるから、みんなが自信を持って戦えていると思う。粘り強く、というのは1番こだわっている」と言う。
 
 当然、チーム全員の共通意識がなければ、「粘り強い守備」は成り立たないだろう。青山は続けて「分析が非常に優れている。相手がやってくること、相手が嫌なことを自分たちで理解して試合に挑んでいますし、そのまま自分たちの強みを出せる状況を作れていると思う。今当たっているという言い方はおかしいけど、みんながそれを信じてやれている」と今季の強みを語った。
 
 地味だが強い。それはまさに派手さではなく堅実さを優先しているからかもしれない。自分たちのサッカーを90分間やり通すのではなく、相手に流れがある時には、それに合わせて割り切る柔軟性を持つ。それこそが広島の好調の理由なのだろう。

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取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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