【広島】「戦術パトリック」が猛威をふるう?目下絶好調のブラジリアンが活躍できる理由

2018年04月16日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

際立つのは空中戦における決定力

パトリックは湘南戦で2ゴール。いずれもヘディングからで、空中戦の強さを見せつけた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 [J1リーグ8節]湘南0-2広島/4月15日/BMWス
 
 広島は8節の湘南戦に2-0で勝利し、開幕から続く無敗記録を8に伸ばした。さらに5節の川崎戦から4連勝中だ。
 
 湘南戦で勝利の立役者となったのは、ブラジル人FWのパトリック。
 
 51分にCKをヘディングで合わせてネットを揺らすと、80分には青山からのクロスをこれまた頭で押し込み、2点目をゲット。湘南のテンポの速い攻撃に苦しみ、流れを失っていたチームに先制点で勢いをもたらし、追加点で相手に絶望を与えた。
 
「練習からああいう形でゴールを決めたり、合わせたりしています。今日も素晴らしいボールがコウセイ選手(柴﨑晃誠)から上がってきた。自分は良いポジションにいて、あのゴールを決められた」と練習の成果だと語れば、2点目を「アオヤマ選手(青山敏弘)がああいうボールを上げてくれるだろうと信じていた。最初はオフサイドポジションにいたんですけど、相手の後ろに回って、タイミングよく待って、アタックできた」と信頼が生んだゴールだと振り返る。
 
 パトリックは、前節に続いて2戦連続2ゴール中で、目下絶好調。今季5得点でランキングトップタイに立っている。
 
 際立つのは、空中戦における決定力だ。
 
 前半から広島はチームとして機能しておらず、湘南のテンポの速いパスワークに翻弄されていた。相手のミスに助けられて辛うじて失点をせずに試合を進めていたが、いつ決められてもおかしくない展開だった。
 
 しかし、パトリックのゴールで潮目が変わった。キャプテンの青山が試合後、流れを引き寄せられたのは「セットプレーで取れたことが大きい」と言っている。チームが低調だったにも関わらず、数少ないチャンスをモノにしてしまう力は、まさに"助っ人"で、湘南戦では、"戦術パトリック"と呼ぶに相応しい活躍ぶりだった。
 
 とはいえ、"戦術パトリック"と言っても、苦し紛れに単にこの助っ人にボールを預けるというだけではない。そこには緻密な計算があるようだ。
 
 今季の広島が狙いとするひとつがセットプレーでの得点。城福浩監督は「セットプレーのトレーニングに時間を割いている。クロスの時に、どこに入っていくかも練習で取り組んでいる。そこで出し手と受け手が合ってきたのかな」と試合後の会見で話している。つまり、日頃のトレーニングで積み重ねてきたひとつの形であり、その中で、強靭なフィジカルを持ち、空中戦に強いパトリックが活きているのだ。
 
 今後もこの"戦術パトリック"が猛威をふるうだろう。ハイパフォーマンスを続けるブラジリアンから目が離せない。
 
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取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
 
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