今、J1で最も走れる男、野津田岳人。そのランニングの極意は“共有”だ

2018年04月15日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

多くの試合でトップの走行距離を叩き出す。

攻守両面で走り回る野津田は、チームの中心になっている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ8節]仙台 0-0 川崎/4月14日/ユアスタ
 
 今、J1で最も走れる男は仙台の野津田岳人と言えるかもしれない。
 
 サッカーダイジェスト(4月12日発売号)の「スキル別最新ランキング」特集内で、そうしたデータが出ているのだ。同特集のスタミナ部門のランキングは5節までの時点で2試合以上に出場している選手を対象とし、1試合平均の走行距離で順位を決めた。野津田は1試合平均走行距離が12.55km、総走行距離は62.77kmで、堂々の1位に輝いている。
 
 また、その後の試合でも野津田は6節・浦和戦(●0-1)で12.599km、7節・名古屋戦(〇3-2戦)で13.096kmを走った。ともに、その試合で両軍を通じてトップの数字だ。
 
 そして、8節の川崎戦でも仙台の16番は縦横無尽に動き回っていた。守備では相手のボランチに対して激しくプレスをかける時もあれば、自陣に押し込まれた際には最終ラインへのサポートも欠かさない。攻撃では多くのボールに関わってビルドアップし、機を見て裏への抜け出しも狙っていた。走行距離は12.875kmで、この試合でもやはり誰よりも多く走った。
 野津田がとにかく走れるのは明白だ。しかし、特筆すべきなのは彼が考える「ランニングの極意」。川崎戦後にはこんなことを言っていた。
 
「(大事なのは)"ここだ"というところの見極め。そこの(チャンスの)タイミングはチームとして統一ができている。(今日は)相手から良い形でボールを奪った時のカウンターで出せていた。だけど、プレーの精度が低かったので、質を上げた攻撃ができればより(大きな)チャンスになる。クオリティを上げられれば良かった」
 
 たしかに、いつ、どこに走るのか、川崎戦はチームとして"共有"ができており、実際、野津田には良い形でのチャンスがあった。42分、右サイドで梁勇基が谷口彰悟に競り勝った瞬間、野津田はタイミング良くゴール前に走り込み、フリーでヘディングシュートを放った。惜しくもシュートはGKチョン・ソンリョンに阻まれたが、野津田の走りがしっかりとチームのなかで活かされていた。
 
 ただ、そのランニングの頑張りの結果は、昨季王者を相手にスコアレスドロー。健闘したという捉え方もできるが、勝利という向上の余地もある。野津田は「キックの質、狙うエリアなど、チームとしてクオリティを上げたい」とさらなる成長への意欲を覗かせた。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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