怒涛の攻撃参加で鹿島を圧倒!FC東京を4連勝に導いた室屋成は、なぜ一皮むけたのか?

2018年04月13日 馬場康平

先制を許して迎えた39分、FC東京の右サイドを一陣の風が駆け抜けた

室屋は鹿島戦で2ゴールに絡む活躍!長谷川監督も賛辞を惜しまなかった。写真:田中研治

 超攻撃的サイドバックが、激しい上下動でFC東京を2016年以来の4連勝へと導いた。左サイドバックの小川諒也が「逆サイドにロケットみたいなヤツがいた」と表現した、室屋成がJ1初ゴールとオウンゴール誘発の"アシスト"でこの日の主役となった。
 
 先制を許して迎えた39分、FC東京の右サイドを一陣の風が駆け抜けた。右サイドの高い位置でボールを受けると、流れるような動きで対面の鹿島の西大伍を抜き去った。そこからグングンと加速して犬飼智也も振り切り、「(永井)謙佑くんを狙って速いボールを意識した」と、高速クロスを上げる。ゴール前に飛び込んだ永井には合わなかったが、これが植田直通のオウンゴールを誘発。試合を振り出しへと戻した。
 
 このワンプレーで勢いに乗ったDFは、55分にハイライトを迎える。橋本拳人がサイドに流れた永井に縦パス。それと同時に、背番号2はトップギアに入れ替え、猛然と右サイドを駆け上がった。永井からのヒールパスを受け取り、ゴール前までドリブルで運ぶ。そこから躊躇なく右足を一閃。
 
「ファーサイドを切られたので、ニア上というかGKに向かって思い切り振り切った」というシュートは、鮮やかにゴールネットを揺らした。
 
 試合後の室屋も、笑顔が耐えなかった。
 
「試合前に(太田)宏介くんから『今日は成が決める』と言われていた。宏介くんの予言が当たった」
 
 今季の室屋は、3月18日のリーグ3節・湘南戦から2試合連続で岡崎慎に定位置を奪われた。その際、長谷川健太監督から「本来の攻撃参加が足りない」と指摘された。その言葉が、室屋に火を付けた。この日の試合前も、逆サイドの小川に「今日はオレが行くから後ろで守っとけ」と言い、ガンガン縦へと仕掛けた。
 
「メンバーから外されたことに関してはネガティブになることはなかった。自分の力を信じていたので」
 
 持ち味を取り戻した室屋に対し、指揮官は「あらためて無尽蔵のスタミナがあると思った」と賛辞の言葉を惜しまなかった。帰ってきた右サイドの突貫アタッカーは、最高の笑顔を浮かべて言った。
 
「めちゃめちゃうれしかった。気持ち良かった」
 
取材・文●馬場康平(フリーライター)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事