齋藤学は古巣との運命的な復帰戦で浴びた大ブーイングに何を思ったのか?「勝手に愛情の裏返しだと…」

2018年04月08日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

試合後には現状への危機感も漏らす。

後半からピッチに立った斎藤。古巣サポーターから痛烈なブーイングを浴びた一方で、川崎サポーターからはチャントを贈られた。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ6節]横浜1-1川崎/4月8日/日産スタジアム
 
 約7か月ぶりの戦列復帰だった。昨年9月23日、27節・ヴァンフォーレ甲府戦で右膝前十字靱帯損傷という大怪我を負っていた川崎フロンターレの齋藤学だ。
 
 今年1月、川崎に活躍の場を移し、物議を醸していた男の復帰戦の相手は、奇しくも8歳からプレーしてきた古巣の横浜F・マリノス。「前日までメンバーに入れるか分からなかったから感じるものはあった」と語った齋藤は、77分からピッチに立った。
 
 ベンチ脇で出場の準備をしている時に横浜サポーターからは大ブーイングを浴び、さらにピッチ上でボールを持った時にもスタンドから強烈なノイズが飛んだ。スタジアムは異様な雰囲気と化していたが、当人はそれをどう感じ取っていたのだろうか。
 
「正直、ボールを持った時のブーイングはあんまり感じなかった。でも、選手紹介の時とか、入る時のブーイングは凄く感じてました。勝手に愛情の裏返しだと思ってました。まぁ『そうじゃない』って声も上がるだろうけど。でも、僕はもう川崎の選手なので、これから等々力で勝利に貢献できればいいかな」
 
 15分にも満たない出場時間だったが、鬼木達監督から、「守備に戻るとこと、仕掛けのスピードを大事に」と指示を受けた齋藤は左サイドで躍動。再三に渡って横浜ゴールを脅かして存在感を発揮した。
 
 惜しくも得点には至らなかったが、上々の復帰戦を飾った齋藤は、「心拍数が上がったなかでの動き方はもうちょっとかな」と体力面での不安を口にしながらも、「最後の方で嘉人さんに出せたパスとか、ああいうタイミングだったり、感覚はあった」と次戦への手応えを口にした。
 
 ようやく復帰したJ屈指の韋駄天だが、王者での熾烈なポジション争いは避けられない。「外から見ていて、このチームの巧さはやっぱり凄いなと思った」という齋藤は、強い危機感も覚えている。
 
「試合の内容を突き詰めていく過程に自分がいれるのは面白いところだと感じてます。でも、本当に競争は凄い。普通にみんな巧いし、強い。誰が出てきても良いサッカーができる。名前だけじゃ出れない場所なので、ここでの自分を築き上げたいと思います」
 
 古巣横浜との運命的な復帰戦を終え、ようやくキャリア再生への第一歩を踏み出した齋藤。はたして、厳しい連戦が続く川崎にとってのヒーローとなれるのか。引き続きそのパフォーマンスに注目したい。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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