現地メディアがアーセナル・ファンを直撃! 「空席が目立ちはじめたエミレーツ」になにを思う…

2018年04月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

クラブは彼らの声に耳を傾けても…。

とりわけバックスタンド側に空席が目立ったストーク戦のエミレーツ・スタジアム(写真)。抗議が狙いというだけではないようだが。(C)Getty Images

 アーセナルがストークを3-0と下した現地時間4月1日のプレミアリーグ第32節では、本拠地エミレーツのスタンドに空席が目立ったことが話題となった。

 アーセン・ヴェンゲル監督はイースター(復活祭)の影響などを示唆したが、その一方で、不本意な成績に対する抗議として、ファンが応援をボイコットしているとの見方も少なくない。

『ESPN』は3日、シーズンチケットを持つサポーターなど、アーセナルの熱狂的なファンの意見を紹介している。エミレーツの空席はなぜ生まれたのか。そこには、さまざまな理由があるようだ。

 30年に渡ってシーズンチケットを購入しつづけているというファンは、「単純にサッカーがつまらないから」と、アーセナルのサッカーに対する不満を理由に挙げた。

「単調で退屈。シーズンチケットは2席持っているけど、今シーズンは6試合しか観に行っていない。いまは他にもっとやりたいことがあるし、もうサッカーが楽しみじゃないんだ。たまに行くのも、もはや義務に近い。行きたいからじゃない。これまではまったく違ったから、残念だよ」

 このファンは、席を友人らに譲ろうにも、システムの面倒さが障害になっていると述べた。

「当日になって、息子の病気などで観戦に行けなくなっても、友達に興味があるかどうかを聞くこともできない。クラブに3日前に連絡しなきゃいけないし、オンラインで手続きが必要だ。友達がメンバー会員じゃなければ、登録も必要になる。でも、クラブは気にしないだろう? チケットはすでに売却済みで、売り上げは手にしているわけだからね」

 
 一方で、別のシーズンチケット購入者は、抗議の意味で応援をボイコットしたのは、リーグカップ決勝で敗れた直後のマンチェスター・シティ戦だけと明かしたうえで、いまは他に優先すべきことがあると述べている。

「子供もいるし、用事もある。年を重ねると変わってくるんだ。あえて行かなかった人たちもいるはずだけど、多くのファンは微妙な立場だと思う。5年前なら、本当に頑張って他の用事を調整したかもしれない。でも、いまはそうじゃないんだ。同じ理由で最近はあまり行かなくなったという友人もいる。友人が行かないと、自分も行かなくなったりするものさ」

 ただ、このファンは「タイトルを争っていれば、もっと試合に行けるようになんとかしようとしただろうね。だけど、そうじゃないから、重要じゃないんだ」と、やはり成績も影響していると語った。

 2011年からシーズンチケットを購入しつづけ、ホームゲームを観なかったのは1試合だけというファンは、チーム状態にかかわらず応援するのがサポーターだと強調した。

「俺がアーセナルを応援しはじめたとき、成功するかどうかで応援するものじゃないと、自分自身に言い聞かせた。それはファンがすることじゃないからね。アーセナルが15位でも、俺はスタジアムに行くよ。半年前は、大半のファンが同じだと思っていた。でも、そうじゃないみたいだ」

 また、過去60年で見逃したホームゲームは10試合だけという強者のベテランサポーターは、「良いことも悪いことも全部観てきた」と話している。

「これだけ(スタジアムに)来ていると、他に行くところがなくてな。ただ、もう来たくないと思うなら、シーズンチケットを更新するのをやめて、家にいればいいだけ。単純なことだよ」

 退屈な内容、システムの煩わしさ、成績不振……。ファンがスタジアムに行かない、あるいは行けないときに別のファンに譲れない理由は多岐に渡る。もちろん、今回インタビューに応じたファンが全サポーターを代表するわけではないが、クラブは彼らの声に耳を傾けてもいいのではないだろうか。
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