ブラジルW杯 列強国の開幕直前ポイントチェック|イタリア編

2014年06月11日 片野道郎

主力の負傷は誤算だが、準備は順調に進んでいる。

前回大会は悲惨な結果に終わるも、2年前のEUROでは準優勝。今回のアズーリはどちらのケースと転がるか!? (C) Getty Images

 いよいよ開幕が迫ったブラジル・ワールドカップ。覇権を争う、いわゆる列強国は、どのような状態で大会を迎えようとしているのか。8つのポイントから現状を診断した。
 
 今回は、絶対的な優勝候補ではないものの、評価は決して低くはないイタリア。プレッシャーのない環境では思わぬ好成績を挙げるという実績を持っているアズーリをポイントチェック。
 
【イタリア】
前回大会:グループリーグ敗退
今大会初戦:6月14日 イングランド戦(グループD)
 
Q1 23人の人選は?
 
不満

 
 最大の痛手は、アンドレア・ピルロ、ダニエレ・デ・ロッシと並ぶ中盤の核だったリッカルド・モントリーボが、直前のアイルランド戦で脛骨骨折の重傷を負い離脱したことだ。マルコ・ヴェッラッティやアルベルト・アクイラーニなど、代役がいないわけではないが、プレースタイルが異なるだけに、連係やバランスという点でやや見劣りすることは否めない。
 
 前線では、故障明けのジュゼッペ・ロッシが、十分なコンディションに到達せず、招集が見送られたことは、ある程度予想していたとはいえ、やはり残念だった。代役となるアントニオ・カッサーノ、ロレンツォ・インシーニェの活躍に期待したい。
 
Q2 チームの仕上がり具合は?
 
まずまず

 
 基本的なチーム構成はEURO2012から変わっておらず、組織的なメカニズムの完成度は高い。1試合の中で複数のシステムをこなすだけの戦術的柔軟性も備わっている。
 
 直前合宿から試し始めた、デ・ロッシをアンカーに置き、ピルロを1列上げた新システム(4-1-3-2)がどこまで機能するかが鍵だろう。
 
 フィジカルコンディションについては、直前合宿を通して(イングランド戦の会場である)マナウスの気候を再現したテントでトレーニングを続けるなど、気候馴化も含めて最善の準備が行なわれている。
 
Q3 キャンプインからここまでチームの雰囲気は?
 
まあまあ

 
 5月20日からの直前合宿に30人を呼び、メンバー登録期限ぎりぎりの6月1日に7人を削って23人に絞り込んだこともあり、ロッシ、マッティア・デストロなど外された選手からは多少の反発があったが、ブラジルに向かった23人の結束は固い。
 
 ジャンルイジ・ブッフォン、デ・ロッシに続くリーダー格のひとりであるモントリーボを失ったことで、チームの統制がやや緩むのを不安視する声もあるが、今のところはネガティブな空気は感じられない。
 
Q4 最大の楽観材料は?
 
ブラジルの環境を経験済みであること
プレッシャーが少ないこと

 
 昨夏のコンフェデレーションズ・カップでブラジルの環境を経験し、とりわけコンディショニングの面で最善の準備を進めることができたのは、マナウスで行なわれるイングランドとの初戦に向けてはもちろん、勝ち進めば進むほど、無視できないアドバンテージになるはずだ。
 
 また、今大会のイタリアは優勝候補に挙げられているわけではなく、チームとしても目標はベスト8と明言しており、また周囲からの期待もそれほど大きくないため、プレッシャーは相対的に少ない。これはチームにとっては、好材料になり得る。

次ページベスト8以降はすべて“ボーナス”という気楽さ。

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