遠藤航 次代の日本代表を牽引する男が、リオ五輪へ熱き決意表明

2014年06月11日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

二度のアジア予選敗退を経験して痛感したメンタルの重要性。

U-21代表でもディフェンスリーダーとして期待される遠藤。五輪への熱い想いを語った。 (C) SOCCER DIGEST

 今季のJ2で首位を独走する湘南で、遠藤航は最終ラインのキーマンとしてフル回転の働きを見せている。フィジカルの強さ、巧みな足もと、優れた戦術眼と三拍子揃ったCBは、10代の頃から将来を嘱望されてきた逸材であり、次世代のA代表候補としても、その成長が期待されている注目の21歳である。
 
 6月9日から、2016年のリオ五輪出場を目指すU-21日本代表候補のトレーニングキャンプに参加。遠藤にとって、世界の舞台への挑戦は、実にこれで三度目となる。
 
 過去2回は、悔しい思いをした。飛び級で選出された10年のU-19アジア選手権、さらに2年前の同大会でも主力として奮闘したものの、いずれも準々決勝で涙をのみ、2大会連続でU-20ワールドカップ出場を逃したのだ。それだけに、本人も「オリンピックには絶対に出たい」と言うように、五輪出場は悲願と言っても過言ではない。
 
 今度こそ世界の舞台へ――。だからこそ、練習メニューひとつとっても、たとえそれがベーシックな内容であっても高い意識で取り組む。その姿は湘南でも変わらないが、U-21代表では所属クラブでの好調は忘れて、「代表にしっかり集中することだけを考えて」自己鍛錬に励んでいる。
 
 そんな遠藤に、改めて聞いた。アジアを勝ち抜けなかった過去の苦い経験と、その理由を。
 
「やっぱり、メンタルの部分が一番大きかったと思います。技術的にはそこまで差はなかったはず。あとは、本当に『勝つ』という思いや、世界に向けて自分たちがしっかりやっていくんだという強い気持ちを持つことが大事になってくる。この世代が目指すのはオリンピックなので、絶対に出場権を獲得して、メダルを獲るんだと一人ひとりがそう強く思い続けないと、アジアを勝ち抜くのは難しいと思います」
 
 もっとも、U-19代表時代の苦い経験を、今はそこまで意識していないとも言う。
 
「同じ代表という括りだけど、選手も監督も代わっているし、別のチームでもある。あまりネガティブにならず、ポジティブに考えて、自分自身をしっかり鼓舞するじゃないけど、新たな気持ちでオリンピックに向かっていきたい」
 
 そしてその先には当然、ワールドカップも見据えている。ただし、その前にやるべきことがある。今度こそ世界への扉をこじ開けて、それに満足せず、目に見える結果を掴み取らなければならない。
 
「ワールドカップにつなげるためのチャンスが、この代表チームだと思っています。次のワールドカップを目指すなかで、オリンピックに出て、活躍して、メダルを獲る。そのためにもしっかりと足もとを見つめながら、目標に向かってやっていきたい」
 
 間もなくブラジル・ワールドカップが開幕。次世代の日本代表を牽引すべき男は、輝かしい未来のために、覚悟を決めて、ブラジル後を見据えながらひと足先に着々と準備を始めている。
 
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
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