Jリーグきっての理論派指揮官、甲府の城福浩監督が語る「ギリシャ攻略法」

2014年06月10日 週刊サッカーダイジェスト編集部

堅守速攻を貫きながら、勝つ術を心得ている。

W杯ではグループリーグ突破の経験がないギリシャだが、強豪揃いの欧州予選を突破しているだけに油断はできない。 (C) Getty Images

 日本代表のグループリーグ第2戦の相手はギリシャ。2000年代に入り、持ち前の堅守速攻を武器に、たびたびその存在をアピールしてきた。この欧州の難敵に対し、日本はいかなる策を持って戦うべきなのか。U-17日本代表監督時代には柿谷曜一朗、齋藤学らと師弟関係にあった、甲府の城福浩監督に「ギリシャ攻略法」を伺った。
 
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 ギリシャは2000年以降、EUROで優勝(04年大会)やベスト8(12年大会)という結果を残しているように、大舞台で強さを示している。自慢の堅守を武器に少ないチャンスをモノにする戦い方に派手さはないが、このスタイルに揺るぎない自信を持っているはずで、どんなメンタリティーで臨めば試合に勝てるかを、彼らは心得ている。
 
 リスクを冒して攻撃に打って出るような戦い方に敢えて背を向け、あくまで堅守速攻を貫き通すスタンスは、彼らの最大の特長であり、その軸がブレることはない。
 
 高さや強靭なフィジカルも当然見逃せないが、必ずしも盤石とは言えないと思う。流れのなかでは安定感を誇る一方、欧州予選での6失点のうち3つがセットプレーからだ。この要因として考えられるのは、マークの受け渡しなど緻密さが失われていること。守備には絶対の自信があるだけに、そこに慢心があるとすれば、突け入る隙はある。
 
 サイドからのクロスにしても、味方の頭に合わせるだけの工夫のないそれでは撥ね返されてしまうだろうが、GKとDFの間を常に狙い続けるなど、相手の嫌がることを意識して重ねていけば、堅守を誇るDF陣にも意外と脆さが出るかもしれない。
 
 ギリシャはポゼッションすることに慣れていない。相手にボールを持たせつつしっかり守ったうえで、前線のサマラスや欧州予選でチームトップの5得点を奪ったミトログルにボールを預けながらダイレクトにゴールへ向かっていくのが得意なので、逆の立場に置かれるのは本望ではないだろう。
 
 守備ブロックを崩していくアイデアや個の器用さがないだけに、早い時間帯にリードを奪われて守備を固められてしまった場合、一気にリズムを崩して後手に回る可能性があるだろう。
 
 とはいえ、強豪国が揃う欧州で結果を残してきたチームだ。最少失点差なら試合をひっくり返せる力もあり、ギリシャは接戦に滅法強いメンタリティーを兼ね備えている。90分を通じて粘り強く戦える精神力を侮ってはいけない。

次ページプレーの精度を上げて守備ブロック内を崩せるか。

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