W杯で日本と対戦するポーランド、3月のテストマッチで見つかった「収穫」と「課題」

2018年03月31日 遠藤孝輔

好調の攻撃陣とは異なり守備陣には…。

ポーランドは「仮想日本」の韓国に3-2で勝利。レバンドフスキ(右)だけのチームではないことを証明した。(C)Getty Images

 ポーランド代表はロベルト・レバンドフスキだけではない―—。3月27日の韓国戦で3-2の勝利を収めた後、ポーランドの老舗スポーツ誌『PRZEGLAD SPORTOWY』はそう見出しを打ち、今回のテストマッチで見つかった計5つの「収穫」と「課題」をまとめた。

 ひとつ目は1ゴール・1アシストの活躍を見せた左ウイングのカミル・グロシツキについて。所属クラブのハル・シティでは指を怪我した昨年12月を境に、バックアッパーに甘んじているが、同誌は「代えの利かない選手。レバンドフスキのゴールをアシストした以外にも、このバイエルンのストライカーに素晴らしいパスを何本も通した」と絶賛。スピードに乗ったドリブルでサイドを切り裂き、エースに絶妙なクロスやパスを供給するウインガーをいかに抑え込むか。日本代表の守備陣は細心の注意が必要だ。

 ふたつ目はウカシュ・ピシュチェクについて。アダム・ナバウカ監督は23日のナイジェリア戦(0-1)に続き、韓国戦でもドルトムント不動の右サイドバックを3バックの右でテストした。しかし、パフォーマンスは芳しくなく、同誌は「サイドの方が良い」と結論付けている。欧州予選で14失点を喫した守備をテコ入れすべく、ナバウカ監督は昨年11月から新システムの3-4-3に磨きをかけているが、今回の2連戦では計3失点。レバンドフスキやグロシツキが好調の攻撃陣とは異なり、守備陣には隙がある。

 
 3つ目は決勝点を挙げたピオトル・ジエリンスキについて。2-2で迎えたアディショナルタイムに鮮やかな左足ミドルを叩き込んだMFは「最初の1分目から良いプレーを見せていた」と高く評価されている。また、同誌のインタビューに応じた元ポーランド代表DFのミハウ・ジェブワコフは「私は彼のファンだ。我々のピルロになれる」と最大級の賛辞を送った。セリエAでユベントスと首位争いを演じるナポリで主力を担うこのヤングスターもまた、日本の守備陣を大いに苦しめそうだ。

 4つ目は先発フル出場した3人の国内組、右ウイングバックのアルトゥール・イェンジェイチク、CBミハウ・パズダン、セントラルMFのクジシュトフ・マチンスキについて。なかでも最も高く評価されていたのがマチンスキだ。国際的にはほとんど無名ながら、持ち前のハードワークで守備に奔走するだけでなく、高精度のパスで攻撃のスイッチを入れるこのMFは、グジェゴシュ・クリホビアクとともに中盤を支えるキーマンになっている。EURO2016での活躍を覚えているファンも少なくないだろう。

 5つ目は新機軸の3バックシステムについて。韓国戦で3ゴールを挙げたが、昨年11月のウルグアイ戦、メキシコ戦に続き、ナイジェリア戦でも無得点に終わった事実や守備でのミスが散見された事実に触れ、まだまだ「学びの段階」というのが『PRZEGLAD SPORTOWY』誌の結論だ。

 韓国戦ではレバンドフスキが退いた後半に劣勢を強いられるなど、やはりエースがもたらす影響力が大きいのは確か。ただ、グロシツキやジエリンスキ、マチンスキなど脇を固めるキャストも充実している。「仮想日本」という位置付けだった韓国戦は、それを改めて印象付けるテストマッチとなった。

文●遠藤孝輔
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