フランス老舗専門誌の編集長が提唱!「日本人は、ハリルホジッチを信じるべきだ!」

2018年03月30日 レミー・ラコンブ(フランス・フットボール誌編集長)

「選手に鞭打ち監督」とのイメージが定着した

リール監督時代から懇意にしてきたラコンブ編集長は、策士・ハリルを高く評価している。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ヴァイッド・ハリルホジッチは、輝かしいキャリアを築いてきた。行く先々、どこでも結果を出した指揮官でありながら、いまだ至高の野心は実現できていない。チャンピオンズ・リーグを制覇できるチームを率いる、という野心だ。

 フランスにおけるハリルホジッチ評は、「専制的で容赦なき男」といったところ。有名な風刺番組の中でも、彼の姿形を模したマリオネット人形が選手たちを鞭で打ちけるシーンを見かけたものだった。そのため、「コーチ・ヴァイッド」というありがたくないニックネームを頂戴したのである。以降、「選手に鞭打つ監督」とのイメージが定着してしまった。もちろんハリルホジッチ自身はこれを毛嫌いしている。まったく現実に合致したものではないからだ。


 彼はよく、私にこう繰り返し語っていた。

「私の最大のクオリティーは、私自身の仕事にあるのだ。それなのにその点については誰も決して語ろうとはしない」

 
 ハリルホジッチは、自分の価値が正当に評価されていないとよく嘆いていた。独裁者などではなく、単に選手たちにハイレベルな要求を突きつけているだけなのだ。ジョゼップ・グアルディオラやジョゼ・モウリーニョ、ユルゲン・クロップらビッグな監督たちと同様に、である。
 
 たしかに彼は、選手がシシャ(水タバコ)を吸ってもうもうと煙を吐いているのを目にしたり、夜も更けた午前1時までプレイステーションに興じているのを見つけるというバッドサプライズに遭遇すれば、その選手を迷うことなく罰するだろう。だが我々が思い込んでいるイメージとは裏腹に、彼は選手たちをこよなく愛している。ハリルホジッチはヒューマンな関係や対話、リスペクトなどを重視する人物なのだ。こう語ったこともある。
 
「自分が大嫌いな選手を率いることはできないよ。そういう場合は離別すべきだ」
 
 ハリルホジッチは自分から揉めごとを探したりはしない。だが、もし問題解決のためにそれが必要だと判断すれば、選手との悶着も辞さないだろう。そもそも彼は何事にも動じない、恐れない人間だ。ましてチャレンジすべき場が眼前にあるならば、なんら怖がらずに前進を続ける。

次ページ彼はチームのマックスを“引き出せる監督”だ

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