【釜本邦茂】良くも悪くも国民性が見えた2連戦。ロシアW杯までの変貌に期待!

2018年03月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

打開力のある個人がどれだけ躍動できるかがポイント。

ウクライナ戦の試合後、スタンドのファン・サポーターに挨拶する日本代表の選手たち。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ウクライナ戦は槙野の同点ヘッドでいったんは追いついたものの、サイドから完全に崩されて決勝点を献上してしまった。終盤は中島が起点となって惜しいチャンスも作ったが、全体を通して見れば、1-2での敗戦は妥当な結果と言えるかもしれない。

 
 第1戦のマリから見れば、東欧勢のウクライナは日本にとって多少くみしやすい相手に見えた。マリ戦の反省を踏まえて、闇雲にロングボールを放り込むこともなく、しっかりつないで崩そうとする意図は見えた。もちろん、パスミスは多かったし、1対1で劣勢に立たされてチャンスを潰してしまう場面も目立ったけれど、少なくとも自分たちの置かれた立場を顧みて、変化しなければいけないと感じていたのかもしれない。だから、1戦目よりも2戦目の方が、どこかチームらしさを感じ取れた。
 
 ただ、このチームのポイントはやはり、打開力のある個人がどれだけピッチ上で躍動できるかにあると思う。当然、パスを丁寧につないで攻め込んだり、相手の隙を突いてその背後にロングボールを送り込んだり、といったチーム戦術も重要だが、「パス、パス、パス」では相手もそのリズムを読んで対応しやすくなってしまう。実際、マリ戦も、ウクライナ戦も中島翔哉が途中から出てきてドリブルで攻撃のバリエーションを広げると、敵のディフェンスラインもズルズルと下がらざるを得なくなった。そうなると、味方が押し上げる時間もでき、ゲームを支配する時間も長くなってくる。
 
 日本には、中島以外にも原口元気や宇佐美貴史、そして香川真司と足もとの技術に長けた選手たちがいる。そうした選手たちがもっと輝くようになってくれば、チームもより多くの場面でゴールに近づけるようになるはずだ。
 
 逆に言えば、日本の攻撃は「個」が弱いから、なかなか敵の脅威になりにくい。1対1あるいは1対2の局面で勝負して打開するくらいの強さ、積極性がなければ、ワールドカップに出てくるような相手は、そうそう隙を見せないと思うよ。

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