【日本代表】混迷のハリルジャパンを救う鍵は「逆算方程式」

2018年03月27日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

看過できないW杯経験組と未経験組の“ズレ”

「メディアの皆さんはスキャンダル、あるいは話題になるものを探している」と話したハリルホジッチ監督。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ウクライナ戦の前日会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はさも不満な表情でこう言った。
 
「日本だけではないですが、メディアの皆さんはスキャンダル、あるいは話題になるものを探していると思います。もちろん我々のところで問題があれば内部で解決するものです。外部への発言は良くありません」
 
 なぜこういう発言をしたのかと、疑問に思う。わざわざチームに問題がありますと改めて公表しているようなものだからだ。
 
 チームの混乱は選手のコメントを聞いていても分かる。例えば長友佑都は3月25日の練習後にこんな話をしていた。
 
「ワールドカップのメンバーに選ばれるためにプレーするだけでは正直、厳しいのかなと。内容や結果を求めたりするのは。むしろワールドカップで勝つためにどれだけ一人ひとりが本気で思っているのか、そういうプレーを誰ができているのか、目標の位置というか、選ばれるためにやることはもちろん大事なんだけど、選ばれて満足せず勝つことが僕たちの目標なので、そのところの違いというか、バランスというのはギャップがあるかなというのは感じますね」
 
 長友と同じような見解を示していたのが、同じく10年、14年と過去2大会のワールドカップを経験している本田圭佑だ。「選ばれるためにやっているわけではない」ということをはっきり口にしている。
 
 ただ、そういう考え方にピンとこない若手がいても不思議はない。ワールドカップを経験している選手がいれば、そうでない者もいる。後者のひとりが、宇佐美貴史だ。
 
「ワールドカップに向かっているサイクルを経験している選手もいれば、僕みたいにそういうサイクルを経験していない選手もいる。全員が思っているのは、チームの勝利。勝っていくチームの中に入っていきたい。いろんな気持ちを持っている選手がいるので、僕自身もいろんな気持ちを持っていますし。
 
 初戦(マリ戦)は上手くいかなかったので、いろんな感情があるとは思いますけど、とにかく明日は勝つ。そこから2、3か月空くので、メンバー入りに向けた各チームでのアピールになると思います。ただ、いろんな経験をしている選手もいますし、そういう経験をしている選手がしていない選手に対してどういう感情を持っているか分からないですけど……」
 
 この宇佐美の言葉と、長友のコメントを比べても、少なからずズレを感じる。どちらが良い、悪いではない。むしろ、ふたりの主張はそれぞれもっともである。
 
 結局のところ、選手たちもベストな指針を見つけられないでいるのだろう。経験組と未経験組のズレからも認識できるカオスはいつまで続くのか。
 

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