対照的だった宇賀神と大島の守備対応、アフリカ勢相手に求められるのは”デュエル”より”ミス待ち”か

2018年03月25日 清水英斗

閑散としたスタジアムで、一際大きく聞こえたのがマリの選手の痛がりだった

露骨に遅延行為をするマリの選手たちを主審が一喝する場面もあった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 日本対マリの国際親善試合は、1424人の観客を集めた。少ない? いや、むしろ「そんなにいたのか」という感想だ。
 
 平日の昼間で閑散としたリエージュのスタジアム、スタッド・モーリス・デュフランには、槙野智章、昌子源、中村航輔を中心としたコーチング、ボールを蹴る音、あるいは拡声器を通した日本代表コールリーダーの声が響き渡っていた。これだけ少ないと空席が目立つというより、音を出す人が目立つ。
 
 そのなかでも、一際大きく聞こえたのが、マリの選手の痛がりだった。毎度、過度に繰り返されるファウルのアピールは、フットボールへの誠実さを欠く行為。欧州サッカーであのような露骨なことをすると、逆に相手DFから、「てめえ、そのくらいでわめくんじゃねえ」とばかりに、顔を近づけて凄まれる場面をよく見かける。
 
 スペインのテネリフェに移籍した頃の柴崎岳も、何かの試合で、ペナルティエリア内で相手の足に引っかかって転んだとき、「PKでも欲しがってんのか。この野郎」とばかりにゼロ距離で凄まれていた。
 
 でも、日本代表はそんな"釘刺し"をする選手がいないので、マリはファウルアピール、遅延行為と、時間の経過とともに褒められない行為が増えた。そして、動きが止まったピッチには、どんどん鳩が降りてくる。
 
 そんな状況で、後半は審判に助けられた。ベルギーの主審エリク・ランブレヒツ氏は、後半になると、マリに対して厳しい態度を取り始めた。露骨な遅延行為をするマリの選手に対し、スタジアム中に響く声で、一喝する場面もあった。アディショナルタイムもしっかりと取り、そのなかで終了間際、中島翔哉の同点ゴールが生まれている。欧州サッカーでは正義感を表に出す主審が多いイメージを、個人的には持っているが、最後の最後はそれに助けられた。
 
 海外での試合経験。その意味は、実に多岐に渡る。
 
 右サイドバックで先発した宇賀神友弥は、経験の無さに苦しんだ。30歳の誕生日に迎えたA代表デビュー戦。アンダー世代で代表に入っていたわけでもなく、アフリカ勢とのプレー経験がほとんどない。30歳までプレーしてきても、この試合が意味する"経験"は無いに等しい。
 

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