韓国のビーナス、イ・ミナの力量はどれくらい? なでしこリーグへの適応度は?

2018年03月22日 西森彰

「日本は技術が高い。韓国はゴールを決める」

韓国女子サッカー界きっての実力者が、ついにジャパンデビューを飾った。僚友たちとともにINACを頂点へと導けるか。写真:川本学

 3月21日、2018プレナスなでしこリーグが開幕した。INAC神戸レオネッサは、ノエビアスタジアム神戸に日体大FIELDS横浜を迎え撃ち、2-0で白星スタート。開幕前から話題を集めていたINACの韓国女子代表MF、イ・ミナもスタメンに名を連ね、チームの勝利に貢献した。
 
 この日は右ウイングで先発したが、タッチライン際でプレーしていたかと思うと、ゴール前、時には逆サイドまで顔を出していく。これについては、今季から指揮を執る鈴木俊監督が「前線の選手は、お互いにポジションチェンジをしながら、自由に動いていい」とお墨付きを与えていたようだ。そこで、遠慮することなく、イ・ミナはピッチを所狭しと活発に動き回った。
 
「日本の選手は技術が高い。韓国の選手はゴールを決める仕事ができる」という彼女自身の考えもあって、ほとんど岩渕真奈と並ぶような位置でプレーする時間が増えていく。その陰でINACの各選手は、それぞれバランスを保つため、即興的に努力していた。中央では岩渕と増矢理花がスペースを譲り、右サイドの守備は髙瀬愛実が補う。

 
 そんな周囲のサポートもあって、12分に決定機が訪れる。鮫島彩と仲田歩夢が左サイドで作ったチャンスに、中央で待ち受けるイ・ミナ。ここはパスの出し手とタイミングが合わずにシュートが弱くなり、初得点とはならなかった。53分にも、良い形でボールを持ち、あとはクロスをいつ入れるかというシーンがあった。中央にも味方の枚数が揃っていたが、こちらも「あわよくば自分で決めよう」という気持ちからか、ドリブルが長くなり、チャンスを逸した。
 
 イ・ミナは一刻も早く結果が欲しいとばかりに、積極果敢にゴール前に向かったが、この日は終始、連携不足に苦しんだ。中島依美の先制点の起点になったところが、この日のハイライト。結局、渇望した初得点は奪えないまま、66分に杉田妃和との交代でベンチへ退く。イ・ミナのなでしこリーグデビュー戦は、若干のほろ苦さを感じさせるものとなった。

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