【日本代表】あの選手の言葉で判断すれば、W杯本番の雰囲気に? リエージュ開催の意外な見どころ

2018年03月21日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

ベルギー代表とは関係のない他国同士の親善試合だけに…

日本代表が親善試合を行なうリエージュの街並み。日本より気温は低く、マフラーなどは必須だ。写真:サッカーダイジェスト

「カンコウ?」
 
 ブリュッセル空港での入国審査でのことだ。係員にそう尋ねられたので、片言の英語で次のように返答した。
 
「いえ、仕事です。日本代表のサッカーの試合を取材しに来ました」
 
 しかし、日本代表に興味がないのか、稚拙な英語が通じなかったのか、いずれにしても係員はポカンとした表情をしている。それでも、「OK、キヲツケテ」と笑顔で応じてくれた。
 
 ブリュッセル空港には、日常の時間が流れていた。テロ対策のためライフルのような銃を携帯した警備員はいたが、至って平穏だ。それは空港から1時間ほど電車に揺られて到着したリエージュの街でも、"日本代表戦をやります"という雰囲気は微塵も感じられなかった。
 
 今回のマリ戦、ウクライナ戦の舞台になるスタッド・モーリスデュフランは収容人員が30,023人。ベルギー代表とは関係のない他国同士の親善試合だけに、まず満員にはならないだろう。

 もしかすると、日本代表はガラガラのスタジアムで戦う可能性もありそうだが、ここで思い出したのが長谷部誠の言葉である。昨年12月、サッカーダイジェストのインタビューに応じてくれた彼はこんなことを言っていた。
 
「(10年の)南アフリカ大会を経験して意外だったのはスタジアムの雰囲気でした。『ワールドカップ=凄い熱気』と思っていましたが、実際はフワッとした感じが漂っています。各国のサポーターが大勢いるのではなく地元ファンが多く、どこか親善試合に近い。『ワールドカップってこんな感じなんだ』と拍子抜けしたことを覚えています。
 
そんな状況下で、初戦の入り方は非常に大事になってくる。初めての選手は、当時の僕と同じように『ワールドカップは凄い』と想像しているはず。あのフワリとした雰囲気に合わせないよう、集中しないといけない」
 
 長谷部の、「各国のサポーターが大勢いるのではなく地元ファンが多く、どこか親善試合に近い」という言葉から判断すれば、"中立地"リエージュでの親善試合のムードは、ワールドカップのそれに近い可能性もある。ひょっとすると、本番の雰囲気がどんなものを確かめるうえで、3月の連戦は格好のテストになるかもしれない。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

【リエージュにやって来た!PHOTO】日本代表親善試合取材に出発、ベルギーのリエージュってこんなところ!
 
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