【現役の眼】元日本代表MF橋本英郎が見た、森岡亮太の「進化と真価」「長所と短所」

2018年03月19日 橋本英郎

転換点は、2013年のJ2降格だった

新天地アンデルレヒトでもさっそく存在を示している森岡。かつての僚友である橋本が、その真髄に迫る! (C)Getty Images

 今回は、日本代表に選出された森岡亮太選手について書いてみようと思います。
 
 彼とはヴィッセル神戸時代に3年間、ともにプレーしました。その頃と比べて現在、なにが彼の中で変わり、なにが変わらず進んでいるのかを考えながら見ていきます。
 
 まずは第1印象から。
 
 出会ったのは僕が神戸に入団した2012年です。森岡選手は海外のクラブに練習参加していたため、少し遅れてプレシーズンのキャンプに合流しました。少し特殊なパターンでしたね。当時のヴィッセルは、カウンターサッカーを得意としていました。その中で森岡選手は異質な存在だと、チームメートやスタッフが口を揃えて言うのが印象的でした。
 
 実際に本人のプレーを見て、視野を確保するのが上手な選手、キックの質感が良かったのを覚えています。その頃の彼のチームでの立ち位置は、カウンターサッカーのもと、後半の苦しい時間帯で攻撃に変化を付けるためのスーパーサブ──そんなポジションでした。まだ年間を通して、スタートで使えるような選手ではないと判断されていたのです。

 
 確かにプレーに波がありましたし、いい時は止めようのないプレーをしますが、ダメな時は気持ちがノッていかないような感じで、適当なところもありました。
 
 そんな彼の転換点は、2013年のJ2降格だったと思います。落ちたことで主力選手が他クラブに流出し、また対戦相手のレベルの変化によって、ヴィッセルの戦い方に変化が生まれたのです。
 
 ポテンシャルは高かったけれども、チームスタイルとは違う異なるプレースタイルだった森岡選手。そのために中心選手になれなかったなか、ようやくチャンスが巡ってきました。それをしっかりモノにして、実力を存分に発揮できるようになりました。
 
 では、彼の特徴、長所と短所をどんなところにあるのかを具体的に考えてみます。いろいろな見方はあると思いますが、今回は僕の意見として書かせてもらいます。長所が5つ、短所が3つ。やはり長所が多いほうがいいと思うので、このようにしました。

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