【日本代表】得点力が選出基準なら、なぜ大迫なのか?

2018年03月19日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

大迫が現代表で確固たる得点源かと言われれば…

大迫自身も得点にはこだわっているが、果たして3月シリーズでどのような活躍を見せるのか。写真:Getty Images

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がベルギー遠征のメンバー発表の席で強調していたのは、"得点力"だ。昨年11月のベルギー戦である程度守れる目処は立ったはず。であれば、次の段階として、その守備組織を保ったままゴールをどう奪うか模索するのは当然だろう。
 
 そこで注目したいのがポルトガル・リーグで活躍し、今回初招集された中島翔哉(ポルティモネンセ)である。キレ味抜群のドリブルでエリア内に侵入し、自らシュートまで持ち込める個人技は現代表にとって貴重な武器になり得る。
 
 チームとして守備に重きを置きつつ重厚な攻撃まで仕掛けるのは、"攻守一体"の近代サッカーではかなり難しい。もちろん、世界の強豪国ならそれも可能だが、「弱小国」の日本にそんなハイレベルなフットボールを求めるのは酷だ。
 
 現実的に考えれば、しっかり守備を固めて速攻から少人数でチャンスを作るというのが、ワールドカップでの日本の戦い方になるだろう。となると、重要なのはやはり個の力で、ハリルホジッチ監督も「ひとりで違いを作り出せる選手をこれからも探していく」と言っている。
 攻撃面で求められるのは、テクニックや運動量以上に得点力だ。ハリルホジッチ監督が今回、乾貴士(エイバル)や岡崎慎司(レスター)を選外とした理由も得点力の乏しさにあった。本田圭佑(パチューカ)や宇佐美貴史(デュッセルドルフ)が復帰できたのもそれぞれクラブでゴールに絡んでいるからで、ふたりが3月のベルギー遠征で決定的な仕事をすれば(例えば本田がFKを1本でも決めたりしたら)、大きなアピールに間違いなくなる。
 
 ただ、得点力が選出基準なら、ひとつの疑問が湧く。今季のブンデスリーガでわずか3ゴール((メンバー発表時)の大迫勇也(ケルン)はなぜ招集されたのか、と──。ワールドカップの最終予選途中から前線の柱に君臨している大迫だが、ハルリジャパンで確固たる得点源かと言われれば疑問符が付く(最終予選ではわずか1ゴール)。今回のベルギー遠征で杉本健勇(C大阪)、あるいは小林悠(川崎)が結果を残せば、もしかするとCFの序列は変わるかもしれない。
 
 とにかく、ワールドカップを勝ち抜くうえで"得点"は不可欠。その点で誰が個人技なり嗅覚でゴールに迫れるかは、今遠征の見どころのひとつとなるだろう。
 
文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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