【異才の思考】中村俊輔が「理想的」と挙げたお気に入りのアシストとは?

2018年03月16日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「DFに『取れる』と思わせて、でもギリギリで届かないパス」

これまでいくつものゴールを演出してきた俊輔。理想的なアシストのひとつに、99年のシドニー五輪最終予選・カザフスタン戦の平瀬への縦パスを挙げた。写真:徳原隆元

 3節・FC東京戦、2-0で待望の今季初勝利を挙げた磐田。チームを勢いに乗せるアダイウトンの先制ヘッドをお膳立てしたのは、やはりこの男、サックスブルーの背番号10、中村俊輔だった。
 
 右サイドでスローインを受けると、対峙するDFを軽やかなステップで惑わし、左足を振り抜く。放たれたボールはアダイウトンの頭にピタリと合った。
 
 長短の距離を問わず、緩急を自在に操り、正確なボールを届ける。希代のパサーである俊輔はこれまでのキャリアで数えきれないほどのゴールを演出してきたが、そのなかでも本人がお気に入りのひとつに挙げるアシストと、その理由とは?
 
「DFに『取れる』と思わせて、でもギリギリで届かないパスですね。昔の話になるけど、シドニー五輪の最終予選のカザフスタン戦(99年11月6日)で、平瀬さん(智行)に出した強めのパスは、理想的なアシストのひとつ。あの時も、相手DFが『取れる』と思って反応したけど、カットできなかった」
 低い弾道で一直線に平瀬に届けられたパスは、まさにアーティスティックだった。日本をシドニー五輪出場へと導くゴールのアシストに、異才の美学が凝縮されている。
 
「ギリギリのところを通せば、受け手はワンタッチでDFと入れ替わって、即シュート体制に入れる」
 
 技術を磨くだけでなく、それをどう使えば成果を得られるかを考え抜き、ピッチ上で体現する。そのスタンスは今現在も貫かれている。「ジュビロでも、自分の意図と受け手の動き出しを擦り合わせて、得点力を上げていきたい」。スタートダッシュには失敗した磐田だが、俊輔の"一振り"で浮上のきっかけを掴みたい。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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