【セルジオ越後の天国と地獄】アジアカップ優勝の「なでしこ」に若手の台頭を期待

2014年05月29日 週刊サッカーダイジェスト編集部

いまやW杯出場はノルマ。本当の戦いはこれから。

初のアジアカップ制覇を果たしたなでしこ。次はワールドカップ連覇に期待したい。 (C) SOCCER DIGEST

 ベトナムで開催されている女子アジアカップを戦うなでしこジャパンが、初めて大会を制覇し、同時に来年のカナダ女子ワールドカップの出場権を手に入れたね。
 
 準決勝では中国を相手に先制しながらも同点とされたけど、終了間際に岩清水が劇的な決勝点を挙げて勝ち、同じく決勝でも岩清水のゴールでオーストラリアを下して優勝。ひとまず、アジアカップ初制覇、7大会連続のワールドカップ出場を決めたなでしこジャパンには、おめでとうと言いたいね。
 
 もっとも、ワールドカップ出場に関しては、今の彼女たちの実力をもってすれば、順当な結果と言ってもいいはずだ。アジアのなかで、なでしこジャパンは抜きん出た存在だし、出場は最低限のノルマと言えた。しかも、カナダ大会は参加国数が16か国から24か国に増えて、アジアの出場枠も「3」から「5」になったわけだから、出場権を得て当然だ。 今回は強豪国の北朝鮮が参加していなかったけど、ワールドカップの出場権を得た国々を見れば、大方の予想どおりでもある。
 
 当たり前だけど、本当の勝負はこれから。連覇がかかるカナダ大会で、女王としての貫録を見せられるのか。今回の女子アジアカップでは、初戦のオーストラリア戦を2-2で引き分けたように、ある程度、骨のある相手に対しては苦戦した印象だ。
 
 この大会はインターナショナル・マッチデーの日程で行なわれず、欧州組の大半が招集不可能だったこともあり、ベストメンバーを揃えられなかった事情はあるにせよ、それに代わる若手たちは期待どおりの働きを見せられたのかな。
 
 世代交代の難しさを感じずにはいられなかったけど、とにかく、残された時間はそう多くないし、多くの若手の台頭を期待したい。明らかに格下の相手との対戦で活躍したところで、それは鵜呑みにはできないし、評価の材料としては弱いよ。
 
 また、チームを活性化させる新たな力は必要だと思うが、日本のメディアは相変わらず、「誰々がかわいい」といった取り上げ方をしているような気がしてならない。手っ取り早くスターを作りやすい手法ではあるけど、この文化はいつまで経っても変わらないね。

次ページ選手たちに実戦経験を積ませたいのなら、前座試合をすればいい。

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