【本田密着】ワールドカップでアピールしたい「本田圭佑の正しい使い方」

2014年05月26日 神尾光臣

過酷な環境のなかでプレーや判断の拙さが目立った1年目。

トーンダウンしていった加入1年目。イタリア・サッカー、ミランのスタイルと、すべてにフィットできなかった。 (C) Getty Images

 ミランでの初めてのシーズンは、本田圭佑にとって不本意なものに終わった。
 
 クラレンス・セードルフ監督の下で、慣れない右サイドとして起用され、なかなか展開に絡めず苦労した。それでも最初の頃はスタメンとしてコンスタントに出場機会は得ていたものの、ミラノダービーを前にしてチームの4-3-1-2のシステム変更に伴い、メンバーから外されることとなった。
 
 37節のアタランタ戦ではトップ下として起用されるも、相手の対策に成す術なく、前半で交代させられた。そして、最終節のサッスオーロ戦では出場なし……。
 
 本田がベンチを温めた試合では、同時期に加入したアデム・ターラブトがトップ下として出場していた。このモロッコ人が信頼を勝ち取った理由は、まずこの時点で4得点と結果を出していたからだ。一方の本田はジェノア戦の1点止まり。また本田には、ターラブトのように単独でのドリブル突破でチャンスで作るという動きもなかった。これでは、スタメン争いで後れを取るのも当然である。
 
 今シーズンを振り返ると、とにかく周囲と噛み合っていなかったというのが第一の印象だ。本田は本来、中盤でボールを離した後にゴール前にポジションを取り、味方からパスを受けて得点へと絡むプレーヤーである。ところがミランでは、攻守が切り替わった後に攻撃に絡む人数が少ないため、本田がパスを預けようにも味方が走っておらず、ここで連係を取ることすらままならなかった。
 
 その一方でイタリアのディフェンスは、素早く組織的に守備を行なう。プレスで囲み、パスコースを切って周囲を固め、攻撃を遅らせつつ、ボールを刈り取ってくる。本田は常にこの包囲網にかかり、複数のマークが付いている状況で、まともにプレーできるスペースは与えられなかった。
 
 ただ、こういった悪条件が常につきまとっていたとはいえ、本田自身のプレーや判断自体も、決して褒められるものではなかった。素早くボールを運ぶべき時にスピードダウンしたり、フェイントをかけ損なってボールを奪われたりと、基本的なミスを犯して評価を落とすこともしばしばあった。

次ページワールドカップでの活躍がミランでの立場を一変させる!?

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事