【仙台】「自分のポジションがあるわけではない」富田晋伍の危機感と“主将3人体制”の舞台裏

2018年02月27日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「今年は矢印を自分に向けたい1年だと思う」

今季の仙台はキャプテン3人体制だが、富田は好印象を持っているようだ。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ1節]仙台 1-0 柏/2月25日/ユアスタ
 
「良い意味で気が抜けるというか、自分だけじゃないなって」
 
 仙台のキャプテンに就任して4季目を迎える富田晋伍は、奧埜博亮、大岩一貴と務める"主将3人体制"について、そう口にした。
 
 少なからず新体制の効果があるようだが、キャプテンを3人にした理由を渡邉晋監督は次のように語っている。
 
「富田は僕が監督に就任した時から、ずっとキャプテンをやってもらっている。基本的にあいつに任せる想いは変らない。ただ、本人は昨年に怪我で戦列を離れて悔しい想いをして、今年は矢印を自分に向けたい1年だと思う。
 
 それでも、説得してキャプテンをやってもらった。そこのサポートを副キャプテンとして大岩と奧埜を置くより、彼らもひとりのリーダーとして一本立ちしてもらいたい。だから、彼らにもキャプテンとして今年1年間戦ってもらう。
 
 必ずしも、3人足してひとりのキャプテンではなく、一人ひとりが自立したキャプテン。そうなればリーダーも増えて、チームもグッと締まる。良い方向に向かうのを期待している」
 
 昨季、富田は25節の鳥栖戦で左足を負傷し、一足早くシーズンを終えた。戦線離脱の間、代わりにボランチを務めたのは奧埜で、キャプテンマークを巻いたのは大岩。ルヴァンカップでは準決勝で敗退したものの川崎に善戦し、リーグ戦では27節のC大阪戦で4発快勝を収めるなど、上位陣に対しても好ゲームを演じた。
 
 ピッチを離れて悔しい想いをした期間、仲間たちのその姿に背番号17は感じることがあったようだ。
 
「なんとなく出れるというのが今まであった。だけど、去年怪我をして、チームが良くなっていたなかで、自分が入るポジションがあるわけでないと思った。(そういう思いがあるなかで今季は)キャンプに臨んで、(今は)まだ、1試合が終わっただけ。(これから)もちろん自分のこともやらないといけないが、チームが勝てるような力にもなりたい」
 
 昨シーズンのチーム状況からすれば、定位置だったボランチの席が決して安泰ではないと危機感を持つのは当然だろう。とはいえ、自らの怪我を発端として、結果的には"主将3人体制"というアイデアに結びつき、「一貴も奧埜も自分から発信していくようになった」とふたりの新主将を富田は評価する。

 実際、1-0で勝利した柏との開幕戦も3人のキャプテンは出色の出来で、「今日のゲームに関しては、キャプテンどうこうを置いておいても、(3人とも)パフォーマンスは良かった。大岩は1対1にさらされる状況にあったが、彼でなければ守れないシーンは何度もあった。奧埜も前線で相手の攻撃の芽をだいぶ摘んでくれた。晋伍は相手のキープレーヤーである江坂(任)を管理しながら、しっかりとボール奪取してくれた。(3人とも)非常に良い働きをしてくれた」と指揮官も手放しで称賛した。
 
 頼れる存在が増えて引き締まった仙台。今季の戦いには期待が持てそうだ。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

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