「テグさん」と「ナベさん」のふたりを知る鎌田次郎が古巣・仙台の成長を語る

2018年02月26日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「フォーメーションとかは関係なく…」

柏は開幕戦で仙台と対戦。鎌田は古巣のふたつの面を称えた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ1節]仙台 1-0 柏/2月25日/ユアスタ
 
「勝てないですね」
 
 アウェーで仙台に0-1で敗れ、2010年から15年まで所属した古巣に勝てなかった柏の鎌田次郎は、そう悔しさを滲ませた。これで柏は5試合連続で仙台にリーグ戦で勝っていない。
 
「仙台の粘り強い守備に苦しんだ。しっかりと対策をしてきた」
 
 鎌田がこのように言う仙台の柏対策とは、フォーメーションの変更だ。昨季から続く仙台の基本布陣は3-4-2-1だが、柏との開幕戦は3-5-2を採用。アンカーに富田晋伍を置き、その両脇に奧埜博亮と野津田岳人、2トップに石原直樹と阿部拓馬を並べたシステムだ。
 
 これにより、柏はキム・ボギョンと大谷秀和のダブルボランチ、トップ下の江坂任をマンマーク気味にケアされ、「(中盤のパスの)出どころを抑えられた」。最終的には「なかなか前進できず、(中村)航輔が長いボールを蹴る場面が多かった」と鎌田が分析するように、攻撃を組み立てられなくなった。
 
 また、スタッツはボール支配率が仙台の51パーセントに対して柏が49パーセント、パス本数が508本(仙台)対447本(柏)だった。わずかとはいえ、丁寧なパス回しをひとつの強みにする昨季4位の柏を相手に、仙台が"ポゼッション"で上回っている。
 
 そんな古巣のオフェンス面に関しても、柏のベテランCBは次のように称える。
 
「(4-4-2から3-4-2-1に)フォーメーションが変わって、ナベさん(渡邉晋監督)が目指すサッカーがはっきりと見えてきた。しっかりポゼッションしようというのが見える」
 
 08年から13年の手倉森誠監督が築いたような堅い守備は健在で、そこに今年で就任5季目の渡邉晋監督が志向する攻撃的なポゼッションスタイルが足されている。ふたりを知る鎌田は仙台の伸びしろについてこう述べた。
 
「最初、僕がいた時はテグさん(手倉森監督)のサッカーを受け継いだ部分もあった。今はナベさん(渡邉監督)色になってるけど、もっと高みを目指していると思うので、まだまだナベさんがやりたいサッカーに向けてトレーニングを積んでくると思う」
 
 12年に2位に輝いた時のようなしたたかな守備を受け継ぎ、オフェンスではポゼッションも磨く。徐々に成長している古巣に「どんなフォーメーションとかは関係なく、仙台は手ごわいなと感じた」と柏の背番号2は口にする。
 
 それでも鎌田は「ホームでは良い内容と結果で借りを返したい」と意気込む。柏のホームで行なわれるリーグ後半戦は、さらに激しいバトルを期待したい。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事