父と子が涙の抱擁! ギリシャで生まれた感動のゴールとは? 「胸を張って学校へ行ってほしい」

2018年02月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

父のゴールに息子は「強くなりたい」と誇らしげ。

ゴールを決めたヴァレラ(左)は大粒の涙を流し、息子のグスタボ君(右)と歓喜した。※写真はPAOKのツイッターより

 巨漢CBが放ったのは、まさに魂の一撃だった。
 
 現地2月12日に行なわれたギリシャ・スーパーリーグ21節のPAOKとAELの一戦で、PAOKのカーボ・ヴェルデ代表CBフェルナンド・ヴァレラが決めたゴールが話題を呼んでいる。

 
 試合結果はリーグ首位のPAOKが11位のAELを3-0で下すという、実力差がハッキリと反映されたものとなったが、この試合の40分に追加点となるヘディング弾を沈めたヴァレラの一撃が持つ意味は、3ゴールのうちの1つなどという単純なものではなかった。
 
 右からのCKで豪快なダイビングヘッドを決めた巨漢CBは、一目散にゴール裏のボールボーイの下へ駆け寄り、涙を流しながらの熱い抱擁を交わすとともに、盛大にゴールを祝い合っていた。
 
 ヴァレラとハグを交わしたのは、実息のグスタボ君(12歳)だ。この少年こそ、今回の親子を巡る1つの物語のメインキャストである。
 
 事の発端は、2016年10月23日に行なわれた、同リーグが誇る強豪オリンピアコスとの一戦にあった。
 
 同年夏にルーマニアのステアウア・ブカレストから期待の新戦力として加入していたヴァレラだったが、このビッグマッチで痛恨のミスからオウンゴールを献上。チームはこの試合を落とし、同シーズンのリーグタイトルもオリンピアコスにさらわれてしまっていた。
 
 父親の致命的なミスに対する批判は、PAOKのアカデミーに在籍するグスタボ君にも飛び火。チームメイトたちから悪質ないじめを受けるようになり、一時は親子関係もギクシャクするようになったという。
 
 家族の絆を揺るがすオウンゴールから名誉挽回を期したヴァレラは、虎視眈々とゴールチャンスを窺い続け、奇しくも息子がゴール裏でボールボーイを務めたAEL戦で、意地の一発を見舞ったのだ。
 
 この歓喜のゴールをヴァレラは、ルーマニア・メディア『GSP』で、次のように振り返っている。
 
「僕が子どもたちを学校に連れていったとき、友だちが彼らをいじめているのを見たんだ。それは辛いことだったね。僕は今日、グスタボから『ゴール裏にいるからゴールしてね』と言われていた。だから、決めた瞬間に駆け寄って叫んだよ。フットボールは、やっぱりタフだね。でも、子どもたちには胸を張って学校へ行ってほしいよ」
 
 そんな父について、グスタボ君は誇らしげに話す。
 
「僕が父さんのようにオウンゴールをしてしまったら、ピッチから逃げるだろう。僕にとって父さんは、重要な存在だよ。僕も父さんみたいに強くなりたい」
 
 エモーショナルなゴールを決めたヴァレラの活躍もあって、PAOKは現在、ギリシャ・スーパーリーグで首位に立っている。同リーグ戦は残り6試合となっており、33年ぶりのタイトル獲得に向けて視界は良好なようだ。

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