“初ゴール”を振り返ったコウチーニョ「リバプールでの最初のゴールも、彼のアシストからだった」

2018年02月09日 山本美智子

契約書にサインしたそのちょうど1か月後に。

スアレスのパスに滑り込むようにして飛びつき、角度のないところからゴールを奪ってみせたコウチーニョ。コパ・デル・レイの決勝進出に大きく貢献した。(C)Getty Images

 5シーズン連続でのコパ・デル・レイ決勝進出――。これは、過去にどのクラブも成し遂げたことがない偉業であり、40回目の決勝進出というのも史上最多。これらの快挙達成に大きな貢献を果たしたのが、バレンシアとの準決勝第2レグで先制点をもたらしたフィリッペ・コウチーニョだ。値千金弾は、彼の移籍後初ゴールだった。

 試合が行なわれた2月8日は、コウチーニョがバルサの契約書にサインをしてから、ちょうど1か月目にあたる日だった。

 後半開始直後の48分、ジョルディ・アルバから縦パスを受けたルイス・スアレスが左サイドでドリブルを開始する。内にぐぐっと切れ込み、そして力強く縦に抜け出すと、逆サイドを駆け上がってきたコウチーニョへクロスを送る。

 コウチーニョはスライディングしながらダイレクトでこれを弾き返した。中央のリオネル・メッシへの折り返しを狙ったようにも見えたが、ボールはニアサイドをケアしていたGKハウメ・ドメネクの逆をつく形で左のサイドネットに突き刺さった。

 力強く右拳を突き上げ、喜びを爆発させたコウチーニョのもとに、満面の笑みを浮かべながらメッシが走り寄ってくる。スアレスが頭からコウチーニョを抱きしめる。そしてセルジ・ロベルト、セルヒオ・ブスケッツ、ジョルディ、イバン・ラキティッチ、アンドレス・イニエスタと、次々にチームメイトが祝福に駆けつけた。

 歓喜の輪がばらけ、スアレスのきつい抱擁からもようやく解放されたコウチーニョを、メッシがふたたび抱きしめる。それは、コウチーニョがバルサの一員として完全に溶け込んでいることを証明するシーンであり、実際S・ロベルトは試合後、次のようなコメントを残している。

「コウチーニョは素晴らしいよ。獲得は大正解だった。いまでは、チーム内のだれもが彼のクオリティーの高さを認識しているし、彼自身も素早い適応を見せている」

 そのコウチーニョは、「僕にとってはここに来て最初の決勝だし、とてもスペシャルな瞬間だった。今日は本当に幸せな日。僕のゴールでチームの決勝進出を助けることができたんだからね」と、初ゴールの重みを噛み締めていた。

「バルサというチームがどう機能するかを日々学び、少しずつだけど理解できるようになってきた。決勝でもチームの勝利に貢献できるよう、もっと練習を重ねたい」

 どこまでも謙虚なボールマジシャンは、ラストパスの送り主であるスアレスへの感謝も忘れなかった。「リバプールでの初ゴールも、スアレスのアシストからだった。次の試合では、スアレスやレオ(メッシ)や他のチームメイトのゴールを、僕がアシストできるようにしたい」と述べている。

 ようやく重圧から解放されたバルサの新「14番」。この初ゴールによってその活躍にさらに弾みがつくことを、だれもが期待している。

文●山本美智子(フリーライター)
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