【なでしこ】熊谷の相方探し、得点力不足…課題克服の鍵を握るのは“97年組”のふたり

2018年02月09日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

市瀬、長谷川はアンダー世代から活躍する精鋭だ。

初招集された昨年のアルガルベカップで好プレーを見せた長谷川。今大会で本格ブレイクを期す。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 高倉麻子監督率いる日本女子代表が、2月28日からポルトガルで開催されるアルガルベカップに臨む。今大会には、熊谷紗希(リヨン)、横山久美(フランクフルト)ら欧州組に加え、昨年12月のE-1選手権から16名が引き続き招集されている。

 高倉監督は16年4月の就任以来、人材発掘を試みて、アンダー世代からの引き上げや、代表キャリアのない選手の抜擢を行なってきた。29歳にして初めて代表入りし、いまや現代表の主力になりつつある櫨まどか(マイナビ仙台)はその最たる例だ。そうした選考を経て、ようやくメンバー編成がある程度固まってきた印象だ。実際、E-1選手権と今大会のメンバーリストに初招集はひとりもいない。
 
 熊谷、鮫島彩(INAC)、宇津木瑠美(シアトル・レイン)、阪口夢穂(ベレーザ)らチームの中核を担う選手は不動だが、今後の見どころのひとつは、コンスタントに呼ばれるようになった若手たちがチームの軸となれるかどうかだろう。
 
 なかでも、ともに1997年生まれの市瀬菜々(マイナビ仙台)、長谷川唯(ベレーザ)には期待が懸かる。いずれもアンダー世代の代表から活躍をしており、2014年にはU-17ワールドカップ(コスタリカ大会)で優勝を果たし、昨年はU-20ワールドカップ(パプアニューギニア大会)で3位に輝いている精鋭だ。
 
 どちらも指揮官からの評価は高い。昨年1月にフル代表に初招集されたCBの市瀬は「クレバーで読みの鋭い選手。非常に落ち着いてつなぐプレーもできる」と評される。一方、昨年3月から代表入りしているMFの長谷川も、「グラウンドの中で起きていることが把握できて、技術も高いし運動量も多い。シンプルにゴールに向かっていくことに良さを感じている」と一定の信頼を得ている。
 
 現代表において、CBを務める熊谷の相方探しと得点力向上は大きな課題。これを克服するためにも、堅実な守備と的確なビルドアップが光るCBの市瀬と、攻撃に違いを生み出すテクニシャンの長谷川の台頭は望まれるところだ。
 
 果たして今回のアルガルベカップで好パフォーマンスを見せ、指揮官から揺るがぬ信頼を勝ち取れるか。新進気鋭のふたりに注目したい。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWeb)

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