【番記者通信】平穏な夏をもたらす2冠達成。ペップは「ちょっと良い監督に」|バイエルン

2014年05月22日 パトリック・シュトラッサー

「我々の監督は天才的だ」とルムメニゲ。

 ドルトムントを延長の末に下して勝ち取ったDFBカップの優勝は、モラルと強い意志による成功であり、バイエルンに静かな夏休みをもたらす栄冠だった。
 
 敗北でシーズンを締めくくっていたら、自問自答を繰り返す疑心暗鬼に陥っていただろう。
 
「とりあえず、これで7月末まで蓋ができる」
 
 トーマス・ミュラーが語った言葉どおり、ジョゼップ・グアルディオラ監督は来シーズンに向けて、落ち着いてチームの強化を進められる。3冠という目標達成のため、構想しているのは攻撃陣の再編だ。
 
 いなくなるのはマリオ・マンジュキッチだ。チーム最多の18ゴールを挙げたクロアチア代表は、DFBカップ決勝のベンチメンバーからも外された。すでにクラブハウスの自分のロッカーを片付けており、退団は確実だ。ユベントスやアーセナル、チェルシーといったビッグクラブが興味を示し、バイエルンは2000万ユーロ(約28億円)の移籍金を期待している。
 
「これはいい別れ方でない。マンジュキッチがレバンドフスキ(今オフの加入が決定)とポジションを争うつもりがあるのか、それとも出て行きたいのか、決めるのは彼自身だ。その意思表示を私は待ちたい」
 
 カール=ハインツ・ルムメニゲ代表取締役はそうコメントしているが、残留の可能性はないだろう。
 
 マンジュキッチを外し、代わりにCFで起用したアリエン・ロッベンが値千金の先制ゴールを決めたDFBカップ決勝の好采配で、グアルディオラの地位はさらに強固なものになった。
 
「我々の監督は天才的だ」
 
 試合後の祝勝会で、ルムメニゲ代表取締役はグアルディオラを激賞した。
 
「君が我々のクラブにいることを、私は幸せに思っている。君はバイエルンによく合っている」
 
 グアルディオラは、みずからをこう振り返る。
 
「今シーズン、私は多くを学んだ。そしてほんのちょっとだけ、良い監督になった」
 
 それを証明するのは、来シーズンのチャンピオンス・リーグだ。バイエルンは7月9日に始動する。もちろん、ワールドカップ出場組は除いて、だ。
 
【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。今年5月にはバイエルンのCBダンチの自伝を出版予定。
 
【翻訳】
円賀貴子
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事