【現地発】オーバメヤンとムヒタリアンが堂々デビュー! 華麗なるアーセナルは本当に蘇るのか?

2018年02月06日 山中忍

美しく強かった栄光の時代を偲ばせる大勝劇。

ともに新加入のオーバメヤン(左)とムヒタリアン(右)は、デビューとなったエバートン戦でいきなり目に見える結果を残した。その強烈なインパクトはサポーターのみならず、記者の心も打ったようだ。 (C) Getty Images

 5600万ポンド(約86億8000万円)に上る移籍金は、指揮官のアーセン・ヴェンゲル曰く「適正価格」。だが、イングランドのメディアは、大衆紙から高級紙までがほぼ一様に「バーゲン価格」と評した。それこそが、アーセナルが今冬にクラブ史上最高額で獲得したピエール=エメリク・オーバメヤンの、デビュー直後の評価である。
 
 メディアの盛り上がりも頷ける。就任22年目の指揮官に退任を促す者も少なくない英国人記者陣たちも、5-1と大勝した2月3日(現地)のエバートン戦の出来には、称賛する他なかった。
 
 美しく、強かった栄光の時代を偲ばせる大勝に酔いしれ、記者たちのキーボードを叩く手が軽快に弾んでいた。そのメディアの心を躍らせたチームパフォーマンスに、新加入のオーバメヤンが大きく貢献していたのは明らかだった。
 
 試合後、ヴェンゲルは自軍のパフォーマンスを、「スピードがあり、足が止まることもなく、技術面でも冴えていた」と評している。その言葉は、そのままオーバメヤンに当てはまる表現だ。
 
 開始早々の3分に見せたアーセナルでのファーストタッチこそ、敵にボールを奪われる結果となったが、これは移籍からわずか3日後の病み上がりというコンディションを考えれば許容範囲と言える。

 その3分後には、巧妙かつ軽快なボール捌きで、同じくデビューを飾ったドルトムント時代の同僚ヘンリク・ムヒタリアンへパスを繋ぎ、そこからアーロン・ラムジーの先制弾が生み出された。
 
 自身に初の絶好機が訪れたのは32分。トップ下のメスト・エジルのスルーパスに反応して相手ゴール前に走り込んだが、GKジョーダン・ピックフォードの堅守に阻まれて得点には至らなかった。しかし、ここで怯みも焦りもしなかった点が、メディアの評価を更に高めた。
 
 そんなビッグチャンスを逃してから5分足らずで、オーバメヤンはホームサポーターたちを沸かせる。
 
 阿吽の呼吸で届いたムヒタリアンからのラストパスに抜け出したオーバメヤンは、相手GKがブロックに身を投げ出すのを冷静に見極めたうえで、技ありのチップキックで緩やかにボールをゴールネットに放り込んだのだ。オフサイドが見逃された幸運に恵まれた点を除けば、非の打ち所のないデビュー戦でのゴールだった。
 
 プレミアリーグが選出するマン・オブ・ザ・マッチに輝いたのは、キャリア初のハットトリックを達成したアーロン・ラムジーだった。実際に相応しかったのは3アシストのムヒタリアンだと言えるが、十分すぎるインパクトを与えたオーバメヤンの活躍も特筆すべきものがあった。

次ページオーバメヤンの活躍がクラブ再興の光明に。

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