鹿島が水戸に辛くも逆転勝利!4-3の撃ち合いに見えたそれぞれの収穫は?

2018年02月03日 佐藤拓也

開幕に向けて大きな自信を掴んだ一戦に。

水戸と鹿島のいばらきダービーは壮絶な撃ち合いになった。写真:徳原隆元

「水戸さんのコレクティブで連動した攻守の勢いが素晴らしかった」。大岩剛監督が、そう称賛したように、「今季のスタイル」を存分に見せつけたのは水戸だった。前田大然や林陵平など昨季の主力の多くがチームを去り、大幅な選手の入れ替わりを余儀なくされたものの、新たにチームに加わった選手たちが大きな可能性を示した。
 
 鹿島の厚みのある攻撃に押し込まれながらも粘り強く対応し、そこから黒川淳史、木村祐志ら中盤の選手がスピーディにボールを動かし、攻撃を繰り出していく。そして、11分に右サイドでテンポのいいパスワークで鹿島のプレスをかわして、ジェフェルソン・バイアーノにスルーパスが送られる。ペナルティエリア前でジェフェルソンが倒されて得たFK、木村祐志のシュートはポストに嫌われるものの、岸本武流が押し込んで先制に成功した。
 
 その後も水戸が勢いよく攻める展開が続いたが、追加点は奪えず。逆に38分にカウンターを食らってPKを献上し、ペドロ・ジュニオールに決められ、同点に追いつかれてしまった。
 
 後半に入っても鹿島にボールを支配されながらも、効果的な攻撃を繰り出したのは水戸だった。65分に左サイドから流れるようなパスワークで右サイドに展開。浜崎拓磨のクロスを宮本拓弥がボレーで合わせる。シュートは曽ヶ端準に防がれたものの、こぼれ球を黒川淳史が押し込んで勝ち越し。完全に鹿島の守備を崩した見事なゴールであった。
 
 しかし、鹿島も盛り返していく。59分に投入された鈴木優磨が前線で果敢にボールを引き出し、水戸DFに圧力をかけてリズムを掴むと、67分に左CKを鈴木が頭で合わせて同点に。その後、両チームとも攻撃的な姿勢を前面に出す激しい展開が繰り広げられた。76分に岸本武流がドリブル突破を仕掛けてこぼれたボールを白井永地が蹴り込んで水戸が再び勝ち越しに成功するが、3分後に左サイドの土居聖真からのクロスを途中出場の安西幸輝がボレーを蹴り込んで同点に追いつく。
 
 そして、勝負強さを見せたのは鹿島だった。86分、右サイドの安西が上げたクロスをゴール前に駆け上がった山本脩斗が頭で合わせ、決勝点を挙げた。決して満足いく内容ではなかったものの、「勝利」という結果を出した鹿島。途中出場の選手たちの活躍は開幕に向けての大きな収穫となったことだろう。
 
 一方、水戸は大幅にメンバーが入れ替わったとは思えない、見事なコンビネーションを見せて鹿島をあと一歩まで追い込んだ。まだほとんど着手していない守備には課題を残したものの、5日から行なわれる沖縄キャンプで修正すれば、チーム力は大きく上がることだろう。開幕に向けて大きな自信を掴んだ一戦となったことは間違いない。

【いばらきSF 水戸 3-4 鹿島 PHOTO】三度のリードを許すも鹿島が逆転勝利を飾る

取材・文●佐藤拓也(フリーライター)
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