【現地発】積極的姿勢で笑顔を取り戻したケルンがブンデスリーガの歴史に名を残す!?

2018年01月20日 中野吉之伴

2部降格を視野に入れた今後の歩み…

あれだけ敗北を喫したわりには、残留争いのライバルたちに絶望的なほどの差はつけられていない。戦力も自信も取り戻しつつある今のチームなら、高揚感に包まれたファンの前で、どんなことも可能性かもしれない。 (C) Getty Images

「バイエルンの優勝」と「ケルンの2部降格」は既定路線だ――。
 
 ドイツでは、この見解が定説になっていた。

 確かに、浮上のきっかけも見出せないでいるチーム事情を考えれば、頷けないこともなかった。前半戦の総得点はわずかに10で、総失点が32……。どちらもリーグワーストだ。
 
 数字上だけではなく、ショックの大きい負け方が続いてしまった。
 
 特に、16節フライブルク戦では3-0とリードを奪いながら、後半終了間際にまさかの大逆転負け! その決勝点も、アディショナルタイムにFWギラシーが何でもないボールに慌てて手を伸ばしてハンドを犯してしまうという、悔やんでも悔やみきれないもの。気持ちが切れてしまった。
 
 平常心を失い、パニック状態になってしまっては、どうしたって勝点を手にすることはできない。
 
 そんな状態のチームで新たにスポーツディレクターに就任したアルミン・フェーは、「フライブルクに勝っていれば、少しはチャンスもあっただろう。今はブンデスリーガを完全に手放すことはないものの、別のこともプランニングしなければならない」と、2部リーグも視野に入れていくことを公式の場で宣言した。
 
 フェーSDの「(来シーズンに向けた)プランを比較的早い段階から進めることができる。来シーズン、2部リーグで昇格候補の役割を担う強いチームを手にしなければならない。ここからスーパーな奇跡が起こらない限り――」との言葉を、ファンやチームはどんな思いで聞いただろうか……。
 
 そうだろうなと思っていたかもしれない。あるいは、そうするべきなのだろうとも。だが、いざ言葉にして突きつけられた時、そのまますんなりと受け入れられた人がどれだけいただろうか。選手の誰が、2部に落ちることを視野に入れながらリーグでプレーをするだろうか。
 
 これに対し、シュテファン・ルーテンベック新監督は、勇敢に立ち上がろうとした。最下位チームが持つ最大の強み、それは失うものは何もないという思い切りだ。ひとつ勝てば、それは大きな力になる。

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