「すべて見抜かれた…」梅崎司の心を揺さぶった移籍交渉で曺監督は何を語ったか?

2018年01月19日 佐藤亮太

「監督と話をして自分の成長曲線が見えた」

湘南の新体制発表会に出席した梅崎。新天地での決意を語った。写真:田中研治

 1月11日。埼玉スタジアム2○○2で行なわれた浦和レッズ新加入選手会見でのこと。補強について聞かれた山道守彦強化本部長は「予想外の移籍があった」と答えた。"予想外の移籍"はおそらく梅崎司を指している。浦和は延長オファーを出していたにもかかわらず、梅崎はJ1湘南ベルマーレへの完全移籍を決めたからだ。

 
 クラブ、チーム、サポーターへの深い愛情を口にした梅崎。しかし、一方で心の内には「このまま浦和にいてもいいのか?」という、そんなジレンマがあった。
 
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 2016年8月31日。ルヴァンカップの準々決勝1stレグ・ヴィッセル神戸戦の終了直前。相手選手と接触した梅崎は、左膝前十字靱帯を損傷してしまう。復帰は7か月後の17年3月下旬。ようやく全体練習に合流して徐々に調子を上げ、天皇杯2回戦のグルージャ盛岡戦(6月21日)で先発フル出場。リーグの帯同メンバーに加わり始めた7月下旬、堀孝史監督が就任すると、前回の11年同様、梅崎は重用されると考えられた。
 
 日程に追われるなか、自分への要求が高い梅崎だが、「すごくやれていた」と手応えを掴んでいた。同様に番記者も梅崎の起用を疑わなかった。しかし、終わってみれば、リーグ10試合・ACL4試合の出場。そのほとんどが途中出場。公式戦で1点も取れなかった。選手起用は監督の特権。梅崎に不満はない。
 
「負けるつもりなくプレーしていた」梅崎だが、「パフォーマンスは良いのに」「もっと試合に出てもいいじゃないか」という悔しさ、歯がゆさが募ったまま、17年シーズンが終わった。
 
 そんな梅崎に湘南からオファーが届いた。昨年12月中旬、梅崎は湘南・曺貴裁監督と会った。そして衝撃を受けた。
「自分のことをすべて見抜かれていました。精神面も技術面も戦術面でも自分のやりたいことを全部言われて……。『ウソでしょ?』って感じで」
 
 それとともに自分が求めていたものが湘南にあると強く感じた。
「自分の成長を考えた場合、30歳を超えたこともあり、もうひと勝負の最後のチャンス。もう一度、鍛え直され、もう1回、勝負して上にいきたい。監督と話をして自分の成長曲線が見えたんです」
 

次ページ交渉の場では「時間を忘れてサッカーの話をした」と曺監督。

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