今も胸に残る中村俊輔からの助言――18歳・山田康太が明かすあの夏のエピソード

2018年01月15日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

ピッチ脇でのボール回し、考え込む山田に俊輔はなんと言ったか。

ユースから昇格を果たした山田。ボランチとトップ下でプレー可能なタレント性抜群のルーキーだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 中村俊輔からすれば、何気ない一言だったかもしれない。ただ、山田康太にとってその言葉は深く胸に響いた。
 
「ピッチの脇で一緒にボール回しをする機会があって、その時に『もっとサッカーを楽しんでやりなよ』みたいに言われて。トップチームに交じって、ちょっと緊張していたというか、考えながらやっていたんです。俊さんが覚えているかは分からないですけど(笑)、自分はその言葉をすごく覚えていて、いつでも楽しんでやろうって」
 
 今から2年前の高2の夏、山田がまだユース時代の話だ。1か月ほどトップチームに帯同する時期があったが、やはり"横浜のレジェンド"は格別な存在だったようだ。
 
「少しだけ一緒にサッカーをやらせてもらったんですけど、自主練する俊さんの背中を見たりして、やっぱり凄い選手だと思ったし、自分の中で意識が変わりました。オンとオフの切り替えが印象的で、練習が始まったらすごく集中していて、でもダウンの時には声を掛けてくれたり。本当に、お手本になる人です」
 
 俊輔に感化されただけでなく、あの夏の経験が、山田を大きく変えた。
 
「プロとして、高いレベルに行こうと強く思えたんです。上には上の選手がいるんだと知って、自分もそうなりたかった」
 
 トップのレベルを肌で感じ、危機感よりも、向上心が刺激された。もっともっと上手くなりたい――これまで以上に意欲的にサッカーに取り組んだ。そしてトップチーム昇格を叶えた今、「プレースピードやボールタッチの技術は、周りの人も上手いですけど、自分の感覚は通用すると思っています。あとは、試合に出られれば、また違う経験ができるはず」と自信を漲らせる。
 
 2種登録されていた昨季は、ルヴァンカップのホーム神戸戦でいち早くプロデビューを飾っている。「プロの厳しさを感じた」と話す一方で、「ボールに絡んで前に出て行くプレーは少しできた」と確かな手応えも掴んだ。
 
 プロ1年目の目標を聞かれれば、「Jリーグの試合で、スタメンで出ること」。得意のポジションは「ボランチでもトップ下でも。どっちでもできます」。中町公祐、喜田拓也、扇原貴宏、天野純、ダビド・バブンスキー……。横浜のミドルゾーンを担うライバルたちは手強い選手ばかりだが、熾烈な競争に割って入る心構えはできている。ポテンシャルを秘めた18歳のプレーメーカーの飛躍に期待したい。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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