【U-23】森保戦術の"肝"を任されたアタッカー!遠藤渓太のポテンシャルと”化ける”可能性

2018年01月14日 川端暁彦

柏、ミキッチ…森保監督が重宝したサイドプレーヤーの系譜を継ぐのはこの男

勇猛果敢な仕掛けで存在感を見せた遠藤。守備では苦労したが、攻撃では十分すぎるプレーを見せた。(C) Getty Images

 アイツはもしかしたら、「森保システム」で化けるかもしれない。

 10日に開幕したU-23アジア選手権で、そんな期待感を取材陣に抱かせている選手がいる。横浜のMF遠藤渓太だ。
 
 本来の遠藤は攻撃的なサイドハーフ。昨年5月のU-20ワールドカップに臨んだチームでも主に左右のMFとして出場してきた。スピードがあってドリブルのセンスもあり、中に切れ込んでのミドルシュートという"一発"もある。守備もサボらない。一方で、「パスを繋ぐのは余り得意じゃない」と認めるように、パサーとしての能力に秀でるタイプではなく、4-4-2のシステムでポゼッションスタイルを意識すると、どうしても使われ方が"スーパーサブ"になりがちだったのも事実だ。
 
 昨年は所属の横浜でも最終ラインの一角に置かれる試合が増加。U-20代表でもそちらのポジションで試用され、サイドバックの控えも兼用するような形でワールドカップのメンバーに残った。本人にしてみると、「守備は嫌いじゃない」とはいえ、「自分の持ち味はあくまで攻撃」なのだから、不本意な部分もあったに違いない。ただ、ここで得た経験が、いままさに生きようとしている。
 
 昨年、広島との試合で遠藤はサイドバックで出場しており、U-21日本代表を率いる森保一監督にも強い印象を残していたようだ。大会直前に行なわれた大阪合宿では「そのときの試合を持ち出して『お前、守備できるだろ』という感じで」(遠藤)、4バックのサイドバックや森保システムの3-4-2-1の左ウイングバックとして遠藤を起用。このシステムならではのポジションをトリコロールの若武者に託した。
 
 中央の選手たちが近い距離を保つ森保システムにおいて、ウイングバックは半ば意図的に孤立するポジションだ。相手のサイドDFと1対1になりやすく、この局面を作ること自体がひとつの攻めの形となる。逆に言うと、この1対1で崩せない選手がウイングバックをやっていると、攻撃が手詰まりになりやすい。広島でミキッチや柏好文といったJリーグでも指折りのドリブラーたちがこのポジションを託されてきたのは、そういう理由が大きい。アップダウンの多さだけで勝負するような「普通のサイドバック」タイプをここに置くと、攻撃面で難しいのだ。
 
 そこで遠藤である。
 
「広島を観ていても(ウイングバックには)ドリブラーを置いているイメージですし、対面の相手に勝つか勝たないかだと思う。自分のところで全部勝てるくらいのつもりでやる。自分の特長が生きやすいポジションだと思う」(遠藤)

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