なぜリーズは井手口陽介を獲得したのか? 強化責任者がその狙いと背景を明かす

2018年01月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

「急ぐ必要があった。価値は間違いなく高騰する」

公式サイトで井手口への想いと獲得の経緯を語ったオルタFD(左端)。日本代表MFにとっての良き理解者だ(写真はリーズ公式ツイッターより)

 イングランド2部の古豪リーズ・ユナイテッドは、なぜ日本代表MF、井手口陽介を獲得するに至ったのか。クラブのディレクター・オブ・フットボール(強化責任者)であるヴィクター・オルタ氏がオフィシャルサイトにコメントを寄せ、その狙いと背景を説明した。
 
 オルタFDはまず、リーズのファンに向けて井手口の特長とプレースタイルを以下のように紹介している。
 
「ヨウスケは素晴らしいテクニックとエクセレントな動きができる、ダイナミックなミッドフィルダーだ。典型的なボックス・トゥ・ボックス型の選手で、球際に強く、ゴールを決める能力も高い。イングランドで成功を掴むためのスタミナと知性を持っていると信じているし、彼は21歳にして(日本の)代表選手なんだ。その将来性を示し続けているよ」
 
 なんともベタ褒めである。では、なぜこの冬のタイミングでの契約にこだわったのか。そこには明確な理由があったようだ。
 
「サインを急ぐ必要があった。だから私は今回、契約が成立してホッとしている。彼はこの夏のワールドカップに出場する。私が想定しているだけの活躍をするなら、ヨウスケの価値は間違いなく高騰し、獲得レースはさらに激しくなっていただろう。6か月待つなど考えられなかったし、ひとつのリスクと捉えていた。実際にフランスやドイツのクラブが接触し始めていたからね」
 
 井手口がイングランドでプレーするためには、英政府が設定するワークパーミット(労働許可証)の条件をクリアしなければならない。過去2年の国際Aマッチ出場数などが査定対象とされ、当初は井手口への認可は難しいと見られていたが、英メディアの報道によると、その可能性は決して低くないようだ。それでもリーズは、早々に提携クラブであるスペイン2部のクルトゥラル・レオネサへのローン移籍を発表した。今シーズンいっぱいまでの契約である。
 
 はたしてオルタFDは、この判断についてどう考えているのか。
 
「現状をよく見れば、リーズはチャンピオンシップで昇格争いの只中にある。日本のJリーグは12月で終わり、ヨウスケはいわばプレシーズンを過ごしてきた。かつ、我々のスカッドにおける中盤はユナン・オケイン、ロナウド・ヴィエイラ、カルビン・フィリップス、マテウス・クリヒらが良いパフォーマンスを見せており、質の高い選手層を維持している。正直に言えば、ワールドカップでの活躍を期すヨウスケにとって、試合出場が保証される環境ではない。ローンでスペインに送り出すのが、彼にとってもリーズにとってもベストな選択だと考えた」
 

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