レンタルの可能性も探らずに…アラベスがジダン長男エンゾをスイスのローザンヌへ放出

2018年01月06日 山本美智子

ポテンシャルの高さはだれもが認めるところだが。

エンゾ(左)はマドリーのトップチームに上がれず、トップリーグの経験を積むべく移籍したアラベスでも、居場所を見つけることができなかった。(C)Getty Images

 レアル・マドリーを率いるジネディーヌ・ジダン監督の息子、エンゾ・ジダンが、リーガ・エスパニョーラのアラベスから、スイス・リーグのローザンヌ・スポルトに完全移籍することが決まった。

 シーズン前半戦を17位で終え、なんとか降格ゾーン(18~20位)に足を踏み入れずに済んだアラベスだが、開幕時のルイス・スベルディアから始まり、ふたり目のハビ・カベジョ、3人目のギアニ・デ・ビアシ、そして現在のアベラルドに至るまで、エンゾは4人もの監督の指揮下にいたものの、「どの監督をもプレーで納得させることができなかった」と、スペイン紙『As』は指摘している。

 昨年の夏、R・マドリーB(2部B)からアラベスに完全移籍を果たしたときは、それなりに大きな話題となった。しかし、「ジダンの息子」という看板を背負った若者について『As』紙は、皮肉まじりにこう報じている。

「プレシーズンマッチで最初にアラベスの選手として登場した際に、数多くのファンから記念撮影をせがまれたあのときが、彼のもっとも輝かしい瞬間だったのかもしれない」

 同紙によれば、エンゾはボールタッチには優れているものの、「他のチームメイトと比較して、自己犠牲のスピリッツに欠ける」とコーチ陣は見ているという。

 思えば、「自己完結型のプレーヤーだ」とか「体格のわりにインテンシティーが低すぎる」といった意見は、マドリーB時代にも上がっており、父親譲りの才能はだれもが認めるところだが、コーチ陣からの信頼をつかむには至らなかった。

『As』紙は、「レンタル移籍の可能性すら探らずに完全移籍させたことが、アラベスがエンゾに未練を残していないなによりの証」と綴ったが、アラベスではリーガで2試合、コパ・デル・レイで2試合の計4試合(155分)にしか出場できなかった若者は、スイスの地で飛躍し、リーガの舞台に返り咲けるのか。今後の活躍を見守りたい。

文●山本美智子(フリーライター)
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