Jリーグ王者の川崎は「DAZNマネー」をどう使うべきか?

2018年01月01日 飯尾篤史

ビッグネームの獲得は妥当ではない。

川崎は今後3年間で少なくとも22億8800万円の賞金を手にする。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 ディエゴ・フォルラン(元C大阪)、ルーカス・ポドルスキ(現神戸)に続くのは誰か――。
 
 Jリーグとスポーツ映像配信会社「DAZN」が10年間で2000億円を超える契約を結び、Jクラブの得られる分配金や優勝賞金の大幅アップが2016年秋に発表された時、ファンの多くが大物選手のJ参戦を夢見たのではないか。
 
 かくいう僕も「(アンドレス)イニエスタ(バルセロナ)が来たらいいな」などとニヤニヤしていた。
 
 もっとも、川崎の優勝で17シーズンが終わり、彼らが今後3年間で少なくとも22億8800万円もの賞金を得ることが決まった今、"DAZNマネー"の使い道としてビッグネームの獲得は妥当ではない、という結論に達しつつある。
 
 大物選手の獲得による戦力アップは、一過性となる可能性が高いだけでなく、戦力アップに繋がるかどうかも疑わしい。それはフォルランとポドルスキが実績と金額に見合う成果をもたらしていないことで証明している。
 
 もちろん、彼らだけではなく、受け入れる側の態勢、チームのスタイルや戦術との相性、監督のマネジメントの問題もあるだろう。
 
 特に川崎のように確固たるスタイルを築いているチームは、それが外国人であろうと、日本人であろうと、新加入選手を選んでしまう。フィットに時間が掛かるのは、サッカーセンスの塊である家長昭博でさえ、シーズン半ばまで馴染むのに苦労しんだことでも明らかだ。いきなり戦力になった阿部浩之のほうが稀な例。その点で、スタイルを熟知している大久保嘉人の再獲得は、実は、かなり有益な補強だと思う。筑波大時代に風間八宏前監督の教え子だったという点で、赤崎秀平の獲得も。
 
 話を元に戻そう。中長期的な視野に立てば、大型補強よりも大事なことがあるだろう。
 
 トップチームのスカウティングシステムのさらなる充実や、最新鋭のデータ分析ツールの導入を図る。未来への投資を考えれば、アカデミーの練習場や寮を整備したり、アカデミーのコーチングスタッフの質と量を高める(むろん、それに見合う報酬も用意して)のもいいだろう。
 

次ページ中村憲剛や大島僚太の隣でプレーするイニエスタ――。妄想にとどめておこう。

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