【リーガ冬の通信簿|A・マドリー編】若手の積極起用で新陳代謝を試みるも、エース不振で波に乗れず

2017年12月31日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

深刻な得点力不足に陥りながら。

9月末から11月中旬までの間、ゴールから見放されていたグリエーズマンは、ここにきてようやくエンジンがかかりつつある。後半戦の爆発に期待だ。(C)Getty Images

【17節までの主な成績】
リーガ・エスパニョーラ2位|10勝6分け1敗/25得点・8失点
チャンピオンズ・リーグ|グループC3位/1勝4分け1敗/5得点・4失点

前半戦のチームパフォーマンス…60点

――◆―――◆――

 ガビやディエゴ・ゴディンといったベテラン勢が衰えを隠し切れなくなるなかで、補強禁止処分を受けて新戦力を加えられなかったのは痛恨だった。奮起が期待された2年目のニコラス・ガイタンとケビン・ガメイロも低調なままで、就任6年目でもっとも厳しい舵取りを強いられたディエゴ・シメオネ監督は、トーマス・パーテイ、アンヘル・コレア、リュカ・エルナンデズといった若手を積極的に起用し、新陳代謝を試みた。

 その若手が期待に応える働きを見せながらも、しかしなかなか波に乗り切れない。チャンピオンズ・リーグ(CL)のチェルシー戦(2節と6節)やリーガ8節のバルセロナ戦では、先制しながら逃げ切りに失敗。スコア以上の実力差を見せつけられ、必勝パターンがあっさり崩れた。

 勢いに乗れなかった最大の要因は、エースのアントワーヌ・グリエーズマンの不調だ。チャンスには絡むものの、肝心のゴールが決まらず、 一時は2か月近くも無得点が続くというトンネルに入り込んだ。

 同じ時期に司令塔コケの怪我も重なり、課題である「ボールを持たされた時の攻撃」だけでなく、得意のカウンターの切れ味も低下。深刻な得点力不足に陥った。それが顕著に表われたのがCLのカラバフ戦(3節と4節)で、 初出場の格下相手に2試合続けてドロー。これが致命傷となり、シメオネ政権下では初めてグループステージ敗退を喫している。
 
 ただそんな状況でも、引き分けが多いとはいえ、リーガでは無敗をキープ。ジエゴ・コスタ(チェルシー)とビトーロ(ラス・パルマス)が加入する1月以降に希望を繋げる展開に持ち込んだのはさすが。このふたりの新戦力がチームを活性化すれば、リー ガ、コパ・デル・レイ、そしてヨーロッパリーグとタイトルの可能性はまだまだ残されている。

☆前半戦MVP☆
ヤン・オブラク

 ミスがほとんどなく、安定感抜群。バルサに次いでリーグで2番目に少ない失点はこの守護神による部分が大きい。

文●下村正幸

※ワールドサッカーダイジェスト2018.01.04号より加筆・修正
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