【ブンデス冬の通信簿|バイエルン編】大正解だったハインケス再招聘

2017年12月30日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

12-13シーズン以来の3冠も夢ではない

危機的だったチームを劇的に変えたハインケス監督(左から2人目)と、ハイペースにコンスタントに得点を重ねる牽引者、レバンドフスキ。3冠達成のカギを握る存在だ。 (C) Getty Images

【前半戦の主な成績】
ブンデスリーガ首位|13勝2分け2敗/37得点・11失点
チャンピオンズ・リーグ|グループB2位通過/5勝1敗/13得点・6失点
 
前半戦のチームパフォーマンス…100点
 
――◆――◆――
 
 ヴルフスブルク相手にホームで2点のリードを守り切れず、直後のパリ・サンジェルマン戦でショッキングな完敗を喫したところで、フロントが大ナタを振るう。
 
 戦術的な上積みをもたらせなかった上、主力メンバーの信頼を失っていたアンチェロッティを更迭。その決断の速さはもちろん、後任人事が大きな話題を呼んだ。3冠に導いた2012-13シーズン限りで、監督業から退いていた72歳のハインケスを新監督として再招聘したのだ。
 
 伝説の名将を担ぎ出したこのウルトラCが、結果的に大正解だった。集団の和を重んじる老将は、就任直後に選手との個別面談などを通して、あっという間にチームを掌握すると、即座にピッチ上のパフォーマンスも改善させる。
 
 すっかりCBに定着していたハビ・マルティネスを中盤の底に戻した他、選手全員に守備の意識改革を求めるなどして、懸案だったディフェンスを強化。3冠を達成した頃を変わらないアプローチで、公式戦16試合で14勝(パリSGへのリベンジにも成功)を記録する快進撃に導いた。
 
 ほぼ全選手のパフォーマンスレベルが上がったなかで、アンチェロッティが率いた序盤戦から継続して絶好調なのがレバンドフスキ。怪我で欠場したCL4節を除く公式戦26試合でピッチに立ち、21ゴールと別格の得点力を誇示している。
 
 この大エースへのチャンスの供給源となっているコマン、キミッヒの、両ヤングタレントも、前半戦の功労者として称えられてしかるべきだ。
 
 現代に甦ったレジェンドの下で、憎らしいほどの強さを取り戻した王者が、改めて見据えるのはビッグイヤーだ。3冠の再現も決して夢ではない。
 
☆前半戦MVP☆
ロベルト・レバンドフスキ
 例年以上に調子のムラがなく、自己最多に迫るペースで得点を量産。キャリアの絶頂を謳歌している。

文:遠藤 孝輔

※ワールドサッカーダイジェスト2018年1月4日号の記事を加筆・修正
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