高校日本一でも落ちこぼれ… インカレ優勝の流経大を支えた付属校出身選手の反骨精神

2017年12月25日 竹中玲央奈

中野監督は感極まり涙を流した。「このまま終わらせたら相当ダメな監督」。

ディフェンスラインを統率した今津が人目もはばからずに涙を流す。付属の流経大柏出身の4年生にとっては期するものがあった。写真:竹中玲央奈

 2017年度の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の決勝で法政大を5−1という大差で下し、大学ナンバーワンの座に輝いたのは流通経済大だった。そして、2014年以来の栄冠に輝いたその瞬間、中野雄二監督は人目をはばかることなく涙を流していた。
 
 感極まって流した涙。そこには大きな理由がある。
 
「今の4年生で付属校出身の学生は高3で日本一になっているんですよ。でも、彼らはまだ優勝できていない。このまま終わらせてしまったら、僕は相当ダメな監督ということになりますね」
 
 3回戦で福岡大を下した後、中野監督は苦笑いをしながらこう語っていた。"付属校"とは言うまでもなく流通経済大付属柏高のことだ。仙台入団内定のFWジャーメイン良や圧巻の得点力を持つ野性的なストライカーの立花歩夢、153センチと小柄ながらも圧倒的なボールコントロールスキルを持つ森永卓らがこの世代で、4年前の2013年に高校3年生の彼らは高円宮チャンピオンシップを制し日本一に輝いた。そして、そのメンバーから名古屋へ進んだ青木亮太、新潟へ入団した小泉慶、早稲田大に進学した秋山陽介の3人を除いた部員全員が流経大に進学したのである。
 
「船山たちの世代より、今年の1年生は間違いなく力がある」
 
 2014年の4月に中野監督にこの世代について聞いたところ、こう返事が返ってきたのを覚えている。船山とは千葉の船山貴之のことで、この代には宇賀神友弥(浦和)、金久保順(仙台)らもいた。彼らは在籍した4年間で毎年タイトルを獲得しており、中野監督のなかでも彼らが"黄金世代"であったのだが、件の全国制覇を経験した付属校上がりの選手たちの入学により、指揮官の認識は変わった。
 
 一方でその期待と同時にプレッシャーもあったことは間違いない。冗談交じりではあったが、先に触れた3回戦後の言葉の裏にはこういった経緯があったからだろう。
 
 そして、最後の最後であるインカレで望んでいたタイトルを手にするというドラマチックな結末である。冒頭の涙はこういう訳だ。
 

次ページ流経大には「悔しさをバネにしてステップアップできる土壌」がある。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事