ブラジル発マネー・トピック――W杯とお金の話vol.2

2014年05月15日 下薗昌記

準備コストは史上最高額。警備費用も桁違いの大会

新設工事が急ピッチで進められているサンパウロ・アレーナ。大会の準備コストは過去最高額となる見込みだ。 (C) Getty Images

 ワールドカップは、五輪をも凌ぐ4年に一度の世界的ビッグイベント。今回のブラジル大会は、様々な面で「超破格」な値段が取り沙汰されているが、ここではその一端を紹介したい。

その1 最安チケット――大会史上最安価の1350円で購入可。
 ブラジル大会の決勝で最も高額な席はカテゴリー1の1980レアル(約9万円)だが、コンフェデ杯中には大会に反対する庶民のデモが頻発したこともあり、FIFAはグループリーグのカテゴリー5を60レアル(2700円)に設定。過去例を見ない低価格に設定しているが、さらに高齢者や学生は半額の30レアル(1350円)で購入が可能となっている。大衆の"ガス抜き"的な側面もあり、貧困層にも決して手の届かない値段ではない。
 
その2 警備費用――デモや暴動対策に費やした額は874億円。
 コンフェデ杯同様、本大会でも各地でデモや暴動が予想されている。4月に行なわれた世論調査では、大会の支持率が初めて50パーセントを割り込んだ。そんな状況だけに、大会中の警備に要する費用は実に19億レアル(約874億円)に上る。ひと口に警察と言っても、軍警察や連邦警察、道路警察に分かれているが、大会中には10万人を超える警官と2万人の民間警備員らを動員予定。法務省が530億円、国防省が320億円をそれぞれ分担する。広大な国土を網羅する警備は費用も桁違いだ。
 
その3 大会準備費用――総額1兆1000億円は史上最高額。
 ブラジル大会の準備費用は、史上最も高額になると見られている。サンパウロ・アレーナのように一から新設されたスタジアムもあるが、大半は旧来のものを取り壊して新設したり、改装しているため、競技場関連の費用だけで約7000億円にのぼる。さらに、空港インフラなどの整備も含めれば、総額は実に1兆1000億円。当初は公的資金を用いないという公約が反故にされており、庶民が怒るのも無理はない状況だ。
 
その4 ホテル1泊の値上がり率――最大で平常時の229パーセントアップ。
 64年ぶりの地元開催となるワールドカップは、観光業界にとっても稼ぎ時だ。決勝などが行なわれるマラカナンはブラジル一の観光都市・リオデジャネイロだけに"値上がり率"も高い。大会期間中で最も値上がり幅が大きかったのが有名なコパカバーナ地区で、通常の229㌫。1泊平均1500レアル(約6万9000円)となっている。比較的治安の良いイパネマ地区では、平均1800レアル(約8万円)と、さらに強気な値段設定がされている。
 
その5 23選手の総市場価値――ブラジルは658億円で3位、日本は171億円で20位。
 大会出場32か国で、本大会に登録が予想される23人の市場価値をブラジルのマーケティング会社「プルリ・コンスルトリア」が推計。タレントが揃うブラジル代表の額は658億円で、スペインとアルゼンチンに続いて3位。日本は171億円で20位となった。ブラジルで最も市場価値が高いのはネイマール(写真)で、約2億レアル(約92億円)とサントスに所属した昨年の同時期より23㌫も増した。ちなみに、同社は年齢やマーケティング効果など77項目から各選手の価値を算出しているという。
 
予想登録23人の総市場価値ランキング
1位 スペイン 681億円
2位 アルゼンチン 667億円
3位 ブラジル 658億円
4位 ドイツ 630億円
5位 フランス 566億円
(中略)
20位 日本 171億円
(中略)
32位 ホンジュラス 45億円

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