城福浩監督はサンフレッチェを”どんな色”に染めるのか?会見で「このチームにベテランはいない」と明かした真意は

2017年12月23日 寺田弘幸

「選手が楽しまなければ、見ている人を楽しませることはできない」

城福監督は1時間弱の会見で自身のサッカー哲学を語った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 最初から最後まで苦しんだ2017年シーズンをなんとかJ1残留圏で終えた広島が、再建を託した城福浩新監督の就任会見が22日、広島市内のホテルで開かれた。熱意をもって招聘に動いた足立修強化部長とともに壇上にのぼり、サンフレッチェへの敬意を表しながら信念を語った指揮官は、はたして広島でどんなサッカーを見せてくれるのだろうか。
 
 もっとも、1時間弱の会見の中で具体的な戦術等々は語られてはいない。まだ選手構成を終えていない時期なのだからそれも当然だが、そのなかでもいくつかキーワードを挙げて城福新監督が描いているチーム作りの方向性を探っていきたい。
 
 会見で城福新監督が最も強調した点は「楽しむ」ことだった。
 
「選手が楽しまなければ見ている人を楽しませることはできないと思っていますし、選手が楽しんでサッカーをできる状況を作りたい。それは何かと言うと、彼ら自身が成長していると実感できることに尽きると思います。個々が成長するための日々の質の追求と厳しい競争。この環境を作っていきたいと思いますし、それこそが楽しむことになってくると思います」
 
 そう語った指揮官は、「自分がもし選手であれば何が楽しいかが、監督としての自分の考え方の根本にある」とも、「ハッキリと言えるのは、まず自分が楽しまないと選手は楽しまないということ」とも語っている。残念ながら2017年は、選手はもちろんクラブに関わるすべての人が楽しむことの難しいシーズンを送ってきた。そのチームに城福新監督がどんなアプローチをしていくのか興味深い。
 
「競争」も大きなテーマになる。クラブに「ベテランと若手の融合、競争」(足立強化部長)を求められる中で、城福新監督は「ピッチの上で誰も特別扱いされる選手はいない。指定席を用意されることはありえない」と厳格に語り、「まずこのチームにベテランはいないと思っています。今年大活躍をしてチームを優勝に導いた川崎の中村憲剛が37歳ということを考えると、このチームの経験豊富な選手たちはまだ中堅」と定義したうえで、「若手に特別な試合の時間を用意することが、必ずしも育成になるとは思っていません。まず5分を勝ち取る。5分を勝ち取ったら15分を勝ち取る。そういうチームにしたいと思いますし、それを阻む中堅どころがいて、それでも時間を増やしていこうとする若手がいる。それで日々の競争が出てくる」と語った。

次ページ城福監督は「早く紫の似合う監督になりたい」とニヤリ。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事