全てのファンから愛されたロシツキ――人々を魅了した天才のもうひとつの側面

2017年12月21日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

泥臭い仕事も厭わなかったその姿に――。

現役引退を表明したロシツキ。写真は左からスパルタ・プラハ時代、ドルトムント時代、アーセナル時代、チェコ代表。 (C)Getty Images

 元チェコ代表のMFトマシュ・ロシツキ(37歳)が12月20日、所属するスパルタ・プラハのクラブハウスで会見を開き、現役引退を表明した。

 そのキャリアは、怪我との戦いだった。とりわけ苦しんだのが、06年に加入したアーセナル時代で、08-09シーズンには全休を余儀なくされてもいる。
 
 それでもファンから愛され続けたのは、ピッチ上で特別な輝きを放ったから。華麗なボール捌きやリズミカルなドリブル、一撃必殺のスルーパスだけでなく、「リトル・モーツァルト」の異名を取った天才は、つねに闘志溢れる男だった。
 
 守備でも絶対に手を抜かず、細身の身体でボールホルダーに激しく食い下がり、ときには泥臭い仕事も厭わなかったその姿に、魂を揺さぶられたファンは少なくなかっただろう。
 
 プロキャリアをスタートしたスパルタ・プラハで3年を過ごした後、01年1月に移籍したドルトムントでは、同胞ヤン・コラーとのコンビで01-02シーズンのリーグ優勝に大きく貢献。06年に移籍したアーセナルでは本人曰く「特別な絆があった」10年間を過ごし、エミレーツ・スタジアムのアイドルとなった。
 
 16年夏には故郷のクラブ、スパルタ・プラハに復帰。1年目は怪我に祟られ1試合の出場に止まったものの、2年目の今シーズンは6節カルビナ戦において公式戦ではアーセナル時代に挙げた15年3月のエバートン戦以来、そして古巣スパルタ・プラハでは約17年ぶりのゴールを挙げて観客を沸かせた。

 しかし、「僕の身体はもはや、プロとして準備できるレベルにない」ことを理由に、彼は潔く引退を決意した。
 
 童顔のファンタジスタは今後、どんな人生を歩むのか。目が離せない。
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