香川のアシストで1点差に迫るも…ドルトムント、宿敵に力の差を見せ付けられ国内カップ敗退

2017年12月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

後半の香川はフィニッシュにも再三絡む

後半は違いを見せるプレーを何度も繰り出した香川。今回も好印象を残した。その一方で、新体制下で上昇ムードだったドルトムントは、宿敵相手の対戦で、まだ改善すべき点が多いことを改めて思い知らされた。 (C) Getty Images

 12月20日(現地時間)、DFBカップ3回戦が行なわれ、ドルトムントは1-2でバイエルンに敗れた。

 
 ドイツを代表する両チームだが、今シーズンはともに途中で監督交代を余儀なくされ、そこから調子が上向いてきたという共通点もある。
 
 年内最後の一戦、ドルトムントはエースのオーバメヤンが筋肉系のトラブルによってメンバー外となり、システムもシュテーガー体制では初の3バックに変更。今回もスタメンに名を連ねた香川は、2列目の右で試合開始を迎えた。
 
 立ち上がりから主導権を握ったのは、ホームのバイエルン。3分にミュラーのクロスをビダルが頭で合わせてクロスバーをヒットすると、6分にはリベリが左サイドから強引にクロスを入れ、中央でハメスがフリーでシュートを放つ。
 
 8分にもビダルのボレーシュートが前にいたレバンドフスキに渡り(至近距離のシュートはGKビュルキがブロック)、さらに11分、カウンターからリベリが持ち込んで強烈な一撃。これはビュルキの正面に飛ぶも、完全な決定機が次々にバイエルンには訪れた。
 
 そして12分、左サイドのFKからジューレがヘディングでクロスバーを叩き、はね返りをボアテングが再び頭で詰めて、今後こそゴールネットを揺らしてみせた。
 
 試合開始とともに一気に畳みかけてリードを奪ったバイエルン。ドルトムントが空けたスペースをうまく利用し、優れた個が連動して動き、スピードで縦に抜け出したり、左右で揺さぶりをかけて相手の守備を剥がしたりする多彩な攻めは、王者らしいハイレベルなもので、高い熟成度を感じさせた。
 
 対するドルトムントは、守備で人数を割いても圧をかけることにはならず、バイエルンに自由を与え続けてしまった。一方、攻めでは帰陣の速い相手に要所を締められ、チャンスを作るどころか、敵陣でボールを繋ぐことすらなかなかできない。
 
 香川は厳しいマークを受けながらも、踏ん張りながら何とか前を向いて味方に決定的なパスを通そうとするが、軌道上にはバイエルンの選手が必ず立ちはだかり、簡単にカットされた。
 
 そんな状況を変えようと、ドルトムントは36分に早くも最初の交代カードを切り、バルトラに代えてダフードを投入。4バックに戻し、香川は過去2戦同様に右のインサイドハーフに役割を移した。
 
 すると、いきなりアウェーチームは決定機を迎える。プリシッチが左から入れたクロスが逆サイドに流れ、ヤルモレンコがフリーで受けて、GKウルライヒをかわして無人のゴールにシュート。しかしこれは、戻ったアラバのゴールライン上でのクリアに阻まれた。
 
 その後、敵陣でのプレッシングも機能し、ポゼッションも上昇するなど、流れがやや変わりかけたものの、バイエルンは40分、右サイドでミュラーがレバンドフスキとのパス交換からフリーでペナルティーエリアに侵入し、冷静な浮き球のシュートで飛び出してきたビュルキの牙城を破った。
 
 攻守での個々の上手さと、組織としての強さに加え、試合巧者ぶりも披露したバイエルンは前半を2点のリードで終え、後半も開始1分で相手のミスを衝いてリベリが持ち込んでクロスを入れ、ハメスが惜しいシュートを放つなど、いきなり決定機を迎える。
 
 さらにその4分後にも、リベリとアラバの連係から左サイドを崩し、クロスからミュラーがヘディングシュート。ビュルキのファインセーブに遭ったものの、これも1点ものの一撃だった。
 
 前半同様に立ち上がりからピンチに陥ったドルトムント。しかし、後半はこれをしのぐと、徐々にポゼッションが上がり、主にサイドからバイエルンのゴール前にボールを入れてチャンスを作り始める。
 
 そのなかでフィニッシュに再三絡んだのが香川。57分にエリア内で鋭いターンによって抜け出し、左足で惜しいシュート。68分には左からのクロスに対し、巨漢CB2人を前にしながら珍しくヘディングシュートを放つが、ボールはウルライヒの正面に飛んだ。
 
 徐々にゴールに迫るアウェーチーム。76分にも左右に揺さぶりをかけながら、チャンスを窺う。ここでボールを受けた香川が、切り返しでキミッヒ、ハビ・マルティネスをかわすと、左足で柔らかいクロス。これをヤルモレンコが頭で合わせ、ついにゴールネット揺らした。
 
 香川の決定的なプレーから1点差に迫ったドルトムントは、その後、86分にカウンターからシュールレが惜しいシュートを放ち、アディショナルタイムにはそのシュールレからラストパスを受けた交代出場のイサクが抜け出して決定機を迎えるも、いずれも得点には結び付けられなかった。
 
 バイエルンは後半、ややギアを落としたこともあり、攻められる回数が増えてしまったものの、攻撃では幾度も好機を作るなど、常にドルトムントに脅威を与え続けており、1点差にされたとはいえ、ライバルに対して力の差を見せ付けた。
 
 勝ったバイエルンは来年2月に行なわれる予定の準々決勝に進出。ドルトムントはチャンピオンズ・リーグに続いて、DFBカップでも敗退を喫し、今後はブンデスリーガでの巻き返し、ヨーロッパリーグでの快進撃を誓って、ひとまず短い休息に入った。

【動画】香川真司が巧みな切り返しからアシスト! ドルトムントはCLに続いてDFB杯でも敗退…|バイエルン2-1ドルトムント
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